樋口新葉「もう1回オリンピックで滑りたい」 最後のシーズンへ「納得して終われるように」(囲み取材コメント全文)

ドリーム・オン・アイス横浜 樋口 新葉

 フィギュアスケートのアイスショー「ドリーム・オン・アイス」が開幕した27日、出演した樋口新葉(ノエビア)が囲み取材に応じ、来年2月に控えるミラノ・コルティナ冬季オリンピックシーズン限りで現役を引退すると表明した。

 樋口のコメント全文は次の通り。

  ―今回初めてファンの前で新プログラムを披露していかがでしたか。

 「今日は新ショートプログラムを滑ったんですけど、ほとんど試合のリンクと変わらない大きさの中で滑って、いつもは『ドリーム・オン・アイス』は照明ありで、アイスショーという感じで滑っていたんですけど、試合形式ということで、結構緊張感のある中で滑れたかなと思います」

 ―披露したプログラム名とテーマを教えてください。

 「ショートプログラムの『マイ・ウェイ』という曲で、自分のスケート人生を表現するようなプログラムになっています」

 ―樋口選手がファンに見てほしい見どころやポイントは。

 「試合のプログラムなので、一つ一つ、ジャンプとかスピンとかエレメンツの部分はそうなんですけど、それ以外で、つなぎだったりとか、これまでの自分が滑ってきた表現の幅広さっていうのを全て出せるようなプログラムになっているので、表現という部分も注目してほしいです」

 ―残り2日に向けては。

 「今日は初日だったんですけど、あと2日間で3回滑れるので、徐々に良くなっていくように、自信を持って滑れるように、少しずつなっていくかなと思うので、あとは改善したいところだったりとかも探していけるといいかなと思います」

ドリーム・オン・アイス横浜 樋口 新葉

 ―スケート人生とは、どういう物語をイメージしていますか。

 「振り付けに行った時に、曲をどうするか、いくつか迷っていたんですけど、3日目ぐらいにジェフ(ジェフリー・バトルさん)が『僕が最後に引退する時に使いたかった曲なんだよ』って言って持ってきた曲が『マイ・ウェイ』で、それまでも他の曲で試してつくりながらという感じだったんですけど、どうしても自分もそんなにしっくりこなかったり、ジェフの中でもしっくりこない部分があって、そうやって持ってきて提案してくれたので、そこですごく自分の中でしっくりきて、踊りやすそうだなっていうのもあったので、この最後のシーズン、すごく締めくくりにちょうどいいプログラムになるなと思って、この曲にしました」

 ―最後のシーズンという話もありましたけど、具体的にこの1年をどう捉えてやっていこうと思っていますか。

 「もちろん、やるからにはオリンピックを目指して進んでいきたいというふうに思ってはいるんですけど、その中で一つ一つの試合が全て最後というふうに感じ取りながら、納得できるように、納得して一つ一つの試合が終われるように、次に進めるように滑れると、すごく自分の中でやってきたことが間違っていなかったんだな、というふうに思えるかなと思うので、自分の今までやってきたことを納得いくように出していくことが目標です」

 ―表現の幅で具体的に意識されているポイントは。

 「今回のショートプログラムは多分、初めてぐらい、こういう壮大な曲を滑る。今までフリーでもショートでも強い部分だったりとか、結構力強い表現が多かったと思うんですけど、その中で自分の感情をそのまま出せるようなプログラムというのはエキシビションとかで多く滑っていたと思うので、それが試合のプログラムで今回滑れるので、エキシビションみたいな感じだけど、試合でちゃんと戦えるようなプログラムにもなっていると思うので、そこが見どころかなと思います」

ドリーム・オン・アイス横浜 樋口 新葉

 ―最後のシーズンの締めくくりにちょうどいいと。オリンピックシーズンを最後と決めているのかを教えてください。

 「そうですね。(オリンピックシーズンで)引退しようと思って臨んでいるので、目標はオリンピックに行くことですけど、それ以外の一つ一つの試合も大切だと思うのですごく気を引き締めて滑りたいと思います」

 ―もし明かせるならフリーの演目は。

 「はい。フリーは『ワンダーウーマン』という映画の曲を使って滑ります」

 ―振付師は。

 「シェイリン(・ボーンさん)です」

 ―選曲の理由は。

 「去年のシーズンからワンダーウーマンの曲が候補に入っていたんですけど、最後、自分がそれこそしっくりくる曲調の音楽っていうのがワンダーウーマンで、ハンス・ジマーという人が作った曲なんですけど、何回も今までも使ったことがあって、今まで自分が聞いた中で『これがいいな』と思う曲がハンス・ジマーだったりしたので、一緒に話しながら決めました」

 ―全日本選手権は東京開催。どのような状況で迎えたいか。

 「東京って知った時に、自分は(オリンピックシーズンで)最後っていうのをずっと決めていたんですけど、すごくうれしいなっていうふうに思っていて、地元っていうのもありますし、本当にいつも練習している拠点からもすごく近いリンクなので、落ち着いて、いつも通り滑れるんじゃないかなというふうに思って楽しみにしています」

オリンピックシーズン限りでの現役引退を表明する樋口新葉

 ―やめられた後のキャリアは考えているでしょうか。

 「いくつかは考えていますね、はい」

 ―現時点では(公表を控える)。

「そうですね、はい」

 ―来シーズン限りで、と決めた理由は。

 「(2024~2025年シーズンは)やめようかなって思いながら滑っていたシーズンだったので、それもあって、すごく力が出せたのかなと思っているんですけど。やっぱり世界選手権で自分で取った枠を自分でもう一回使いたいなっていうふうに思ってオリンピックシーズンまで頑張ろうと思ったきっかけで、北京オリンピックに行った時に、もう一回オリンピックで滑りたいなと思ったのもシーズンを続けるきっかけで、自分のメンタル的にもすごく弱い部分がたくさんあるので、オリンピックシーズンまでと決めて全力で全てを出し切れると、すごく良い結果も出せるんじゃないかなと思って、それが理由です」

 ―納得いくシーズンにするために他のシーズンよりも強い思いを懸ける部分や、これだけは絶対に守ろうみたいな思っている部分は。

 「特に何かを決めているとかっていうことはないんですけど、今までやってきたことが間違っていなかったなっていうふうに思えて、試合がそれこそ納得して終わったりとか、結果もそうですけど、そういうふうに演技が終わった後に思えることが一番大事かなと思って。今まで習ってきたこととか考えてきたこととか全部合わせて、マイナスなことも結構自分の中でプラスに変わってきたこともあるので、そういうことを思い出しながら、悔いの残らない、だったりとか、納得のいくと、同じような意味になるんですけど、そういうことを一番に考えて滑りたいです」

藤原 慎也

この記事を書いた人

藤原 慎也 (ふじわら・しんや)

全国紙で5年間の勤務を経て、2014年に入社。名古屋でプロ野球中日を取材。2016年末に東京運動部へ異動し、フィギュアスケート、体操、パラスポーツを担当。だんじり祭りで有名な岸和田市育ち。