フィギュアはスポーツか?アートか? 「『汽水域』であることこそ醍醐味」 町田樹さん、単独インタビュー(上)

2014年ソチ冬季オリンピック男子フリーで演技する町田樹=2014年2月15日、ソチ(共同)

 2014年12月の全日本選手権で突如、現役引退を発表した町田樹さん。プロスケーターとしても活躍し、現在は国学院大学人間開発学部健康体育学科の准教授として多方面での活動にいそしむ。このたび共同通信の単独インタビューに応じ、引退から現在に至る約10年の歩みについて2回にわたって紹介する。前半では競技者の時代、絶えず抱えていた葛藤などを打ち明けた。(聞き手 品川絵里)

 ―『村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会』にゲストとして登壇されました。振り返っていかがですか。
 「音楽家の演奏動作も究極的には舞踊だと私は思っています。田中祐子さんの指揮しかり、バイオリニストの弓さばきしかり、ピアニストの鍵盤を動く指しかり。どういうテンションで弾いているのか、いかなる軌道で手を動かして弾いているのか、その動きによって出る音が変わると思います。ですから、音楽家の動きというのは、音楽を身体表現するものとして非常に勉強になります。それが今回、至近距離で学べて本当にうれしく思いましたね」

 ―ジョン・カリーに関する研究など、バレエの動きとの領域横断的な研究をされていますが、今後指揮者の動きを研究していきたい思いもありますか。
 「私は音楽学が専門ではないので、なかなか難しいとは思うのですが、でも舞踊論や身体表現論として演奏家のパフォーマンスを考えるというのは、非常に面白い研究テーマだと私は思っています」

村上佳菜子のフィギュアスケート音楽会に登壇した町田樹さん=3月20日、名古屋市
品川 絵里

この記事を書いた人

品川 絵里 (しながわ・えり)

2018年に入社し、大分支局を経て20年から東京、大阪、名古屋でスポーツを取材。現在はプロ野球中日、フィギュアスケートなどを担当している。中高は創作ダンス部で、趣味は宝塚歌劇やミュージカル、中韓ドラマの鑑賞。