来年2月のミラノ・コルティナ冬季五輪へ試金石となる2024~25年シーズンの世界選手権は、今月上旬閉幕のカーリング混合ダブルスで終了した。フィギュアスケートの日本勢は「りくりゅう」ことペアの三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)が2年ぶりに世界一に返り咲き、女子の坂本花織(シスメックス)が銀、千葉百音(木下アカデミー)が銅メダル、男子の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)も3位に入った。ただ、米国勢の台頭やロシア勢の国際舞台復帰に危機感もある。主役候補のスノーボードは五輪種目で12個のメダルを量産。スピードスケートの高木美帆(たかぎ・みほ)(TOKIOインカラミ)ら実力者も存在感を示し、22年北京五輪でマークした冬季最多メダル18個の更新へ期待が高まる。

▽ホープ続々
「日本のスノーボードは強いんだぞ、というのをもっと広めたい」。日本が独占した世界選手権女子ビッグエアの表彰台で、真ん中に立った20歳、村瀬心椛(むらせ・ここも)(TOKIOインカラミ)は早くも五輪へ意欲をかき立てた。
スノーボードはホープが続々と現れ、女子ハーフパイプは15歳の清水(しみず)さら(TOKIOインカラミ)が2位に入った。切磋琢磨(せっさたくま)に加え、夏場も技を磨ける屋外施設が充実。他国に先駆けた取り組みが実を結ぶ。
他にもフリースタイルスキーの男子モーグルで北京銅の堀島行真(ほりしま・いくま)(トヨタ自動車)が頂点に立ち、フィギュアスケートはペアで三浦璃来(みうら・りく)、木原龍一(きはら・りゅういち)組(木下グループ)が世界一に返り咲き。スピードの高木は世界距離別選手権の1000㍍で2連覇し、貫禄を見せた。

▽危機感
フィギュアは男子1、女子2のメダルを確保した。ただ、米国勢が急伸し、女子の坂本花織(さかもと・かおり)(シスメックス)は2位で連覇が3でストップ。五輪ではウクライナ侵攻により国際大会から除外されてきた強豪ロシア勢の参加も予想され、坂本は「安定感を取り戻したい」と危機感をにじませる。
スピードは高木、ノルディックスキー・ジャンプは男子の小林陵侑(こばやし・りょうゆう)(チームROY)といったエースが健在だが、新戦力の台頭は乏しい。カーリングは北京銀の女子を含め、出場枠獲得は最終予選に持ち越された。

▽本番へ備え
五輪開幕まで9カ月を切り、本番を見据えた準備が進む。日本スケート連盟はフィギュア選手が大会期間中に十分な練習時間を確保するため、ミラノ中心部から車で1時間程度の場所にあるアイスリンクと契約した。
文部科学省所管の日本スポーツ振興センター(JSC)は過去大会と同じく、ミラノの選手村近くに支援拠点を設置する方針。大会は四つの会場群に分かれる広域開催となり、遠隔地のサポート態勢も模索する。国も一体となった強化は着実に成果を上げ、国立スポーツ科学センター(JISS)の石毛勇介(いしげ・ゆうすけ)副所長は「持続的にやっていくことが重要」と語った。
