坂本花織「大きな区切りが欲しかった」ラストシーズンへ SP、フリーで「伸びのある滑り、スピード感出したい」(囲み取材コメント全文)

ドリーム・オン・アイス横浜 坂本 花織

 フィギュアスケート女子の坂本花織(シスメックス)が27日、アイスショー「ドリーム・オン・アイス」に出演し、シャンソンの名曲「愛の讃歌」で滑る新フリーを初披露した。演技後に囲み取材に応じ、来年2月のミラノ・コルティナ冬季オリンピックで金メダルを目指す現役ラストシーズンに向けて思いを語った。
 
 坂本のコメント全文は次の通り。

「フリーの見どころは考え中」

 ―新プログラムを披露した気持ちは。

 「この時期ならではの、やっぱり、まだまだプログラムがなじんでいないなという感じがありますし、でも今年はこのスタイルで戦っていくんだなっていうのも、今日初めて示すことができたので、そこはすごく楽しかったです」

 ―大きな歓声と拍手があった。

 「本当にこういう経験もどんどん少なくなっていくと思うので、本当に一回一回をかみしめて、今日初めて披露してそう感じました」

 ―今日はフリーで、ショートプログラムも披露されると思う。それぞれのプログラムの名前とテーマは。

 「ショートプログラムは『タイム・トゥ・セイ・グッバイ』で、このショートは自分が今まで20年間スケートをやってきて、幼少期からの思い出を振り返りながら、今の自分がこうやって出来上がったんだっていうのを滑りで示せたらなと思っています」

 「フリーは『愛の讃歌』で、この曲は愛をテーマに、恋愛とかそっち方面の歌詞なんですけど、振付師のマリーフランス・デュブリュイル先生が『恋愛というよりも、カオリはスケート愛の方が感情移入しやすいんじゃないかな』と。自分の大好きなスケートをフリーでは表現できたらなと思います」

 ―それぞれ、ここを見てほしいというポイントがあれば教えてください。

 「ショートはステップが一番見どころで、フリーはまだ考え中です(笑)」

 ―あと2日ある公演へ意気込みを。

 「このドリーム・オン・アイスでショートもフリーも披露するので、皆さんの反応がすごく楽しみですし、自分自身もこのオリンピックシーズン、大事なオリンピックシーズンに、これで戦っていくんだというのをしっかり示せたらなと思っています」

ドリーム・オン・アイス横浜 坂本 花織

「このシーズンを逃すと、引退し損ねるんじゃないかなって思って(笑)」

 ―オリンピックシーズン限りで引退と決意した思いとは。

 「うーん、多分このミラノのシーズンを逃すと、何か引退し損ねるんじゃないかなって思って(笑)やっぱり自分自身、一区切りが欲しかった、大きな区切りが欲しかったので、やっぱりそうなるとオリンピックっていう一大イベントを目指して、そこでやっぱり区切りをつけようかなと自分も考えていましたし、その話をする時にも、先生方もそういう考えだったので、全員の意見が一致して、そういう決断に至りました」

 ―フリーはどのようなことを思いながら演技したか。

 「まだ6月の段階ですし、振り付けしてからまだ1カ月ぐらいしかたっていないので、落とし込めてない部分の方が8割くらいだと思うので、ここからしっかり自分のスケートにしていって、どんどん愛深まるプログラムになっていけばいいかなと思っています」

 ―オリンピックシーズンの意気込みは。

 「しっかりオリンピックを目指して、一試合一試合、いつも通り頑張って、そこでオリンピックに出られたら団体、個人ともに銀メダル以上を狙って頑張りたいなと思っています」

 ―特にプログラムの質を高めるというのを意識されているところもあると思うんですが、具体的にはどういう部分を、どういう方法で練習しようとか考えていることがあるかっていうのと、ジャンプのチェンジっていうのも含めて、今後どのようなジャンプ構成でいこうかとか、そういうのを考えているのを言える範囲でお願います。

 「えーと、まあ、んー、えっ、すごく多い。もう質問忘れちゃった(笑)」 

 ―ごめんなさい。プログラムの完成度を高めるためにやりたいことは。

 「今回のショートとフリーは、特に、前のシーズンは結構音ハメだったり、細かいステップが求められるプログラムになっていたんですけど、今年はやっぱり自分のスケーティングスキルを生かしたいというところで、伸びのあるスケーティングだったり、スピード感だったりっていうのを、やっぱりどんどんプログラムの中で出していきたいなと思っているので、やっぱり今まで以上にジャンプとかスピンももちろん大事ですけど、スケーティングの練習とかも大事になってくるかなと思うので、あとはやっぱり自分が苦手としている、この間の取り方とかも特に必要なことかなと思うので、そこも重点的に練習できたらなと思っています。2個目何でしたっけ?」

 ―ジャンプについて、チェンジを踏まえて、どういうふうに考えていますか。

 「(2024~2025年シーズンは)ルッツ2本入れたり、それに伴ってコンビネーションをオイラーサルコーにしたり、いろいろ今までやったことのないことをやってみて、もちろんその経験もすごく良かって、それをやって自分自身に納得したところもあって、やっぱり元の構成の方が安定感もありますし、自分で何だろう、ジャンプに気が持っていかれちゃうと、その他の振り付けの部分が薄くなってしまうので、やっぱり全体的なクオリティーを上げようと思うと、以前の構成でいこうというので、ショートもフリーの構成は大きく変えず、え?(笑)えーっと、ショートは変えず、フリーはオイラーサルコーなしで、ルッツ2本もなしで、前の構成に戻しました」

ドリーム・オン・アイス横浜 坂本 花織

「新葉は頑張っても追いつけない存在だった。最後の最後まで一緒に頑張れたら」

 ―樋口新葉さんが来季限りでの引退を表明。同世代と引っ張ってきた。

 「やっぱり新葉とはノービスの頃から一緒に戦ってきて、でも本当に新葉は自分にとっては、なかなか頑張っても追いつけない存在で、一緒に北京でメダルを取れたことで、やっと同じところで戦えるぐらい自分が成長したんだなって感じられましたし、一回休養とかけがとかで離脱したのに、ここまで世界のトップで、また走る、このメンツの中に戻ってくるっていうのは、本当にすごいなと思って。本当に、何だろう、精神力の強さをすごく感じて、そこは本当に尊敬するので、でも一歩、陸に上がると甘えた新葉ちゃんみたいな感じになるので、そのギャップがすごく好きで。ここまで一緒に頑張ってこられたのは本当にうれしいし、最後の最後まで一緒に頑張れたらなと思っています」

 ―オフに引退のこととか話したことは。

 「結構話せない内容です(笑)でも何だろう、試合の時にどういう気持ちで挑んでるとか、この状況になった時にどうやってやってるの?みたいな感じで、お互いの自分が弱いなと思ってる部分をお互いに教えあったりとか、あとは本当にスケートの話を深ーく、深ーく話をして、お互いに納得して、じゃあ今シーズン頑張りましょう!みたいな感じでした」

 ―引退だからという特別な話は。

 「引退のワードはほぼ出てこなくて、今のスケート界の話をしました(笑)」

ドリーム・オン・アイス横浜 坂本 花織
藤原 慎也

この記事を書いた人

藤原 慎也 (ふじわら・しんや)

全国紙で5年間の勤務を経て、2014年に入社。名古屋でプロ野球中日を取材。2016年末に東京運動部へ異動し、フィギュアスケート、体操、パラスポーツを担当。だんじり祭りで有名な岸和田市育ち。