フィギュアスケートで冬季オリンピックのメダルを獲得したのは、個人、団体合わせて計13人。当時の記事(一部は読みやすく再編)や演技写真で感動を振り返ります。今回は男子シングル編です。(敬称略)
2010年 バンクーバー冬季オリンピック 高橋大輔 銅メダル
ショートプログラム 3位 (90.25点)
フリー 5位 (156.98点)
最終結果 銅メダル (247.23点)
バンクーバー冬季オリンピック第7日の18日(日本時間19日)、フィギュアスケート男子で高橋大輔(関大大学院)が3位に入り、フィギュアで日本男子初のメダルを獲得した。欧州と北米の選手が独占してきた表彰台の一角に初めて立つ快挙となった。
右ひざ前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを乗り越えた高橋はこの日、フリーも出だしの4回転トーループで転倒したが、フェデリコ・フェリーニ監督の名作映画「道」の音楽に乗り、持ち前の表現力でジャッジや観客を引き込み、演技点ではトップ。「この種目で初のメダルは誇りに思う」「よくここまでたどりつけた」と喜びを語った。
7位の織田信成(関大)は演技中にスケート靴のひもが切れる不運を「ショックすぎて言葉にならない」と嘆いた。父子2代でオリンピック出場の小塚崇彦(トヨタ自動車)も8位となり、日本勢は全員が入賞した。
エバン・ライサチェク(米国)がショートプログラム(SP)2位からの逆転で金メダル。独立国家共同体(CIS)時代を含むロシアの6連覇を阻み、2006年トリノ大会王者エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)が2位となった。
2014年 ソチ冬季オリンピック 羽生結弦 金メダル
ショートプログラム 1位 (101.45点)
フリー 1位 (178.64点)
最終結果 金メダル(280.09点)
ソチ冬季オリンピック第8日の14日、フィギュアスケート男子で初出場の羽生結弦 (19)=ANA=が今大会の日本の第1号となる金メダルを獲得した。冬季オリンピックで日本の通算10個目の金メダル。フィギュアで2006年トリノ大会女子の荒川静香以来2人目で、男子では初となった。
1948年サンモリッツ大会を18歳で制したリチャード・バットン(米国)に次ぐ史上2番目の若さで、欧米の選手が勝ってきた男子でアジアから初めて頂点に立った。
初出場の町田樹(23)=関大=が5位と健闘し、前回バンクーバー大会銅メダリストの高橋大輔(27)=関大大学院=も6位入賞。日本男子はバンクーバー大会に続いて3人全員が入賞した。
羽生は13日、「パリの散歩道」で滑ったショートプログラム(SP)で国際大会史上初の100点超えとなる101・45点で首位に立つと、14日のフリーではジャンプでミスがあったもののトップの178・64点をマークし、合計280・09点とした。 世界選手権王者のパトリック・チャン(カナダ)が4・47点差で2位となった。
2018年 平昌冬季オリンピック 羽生結弦=金メダル 宇野昌磨=銀メダル
〔羽生結弦〕
ショートプログラム 1位 (111.68点)
フリー 2位 (206.17点)
最終結果 金メダル(317.85点)
〔宇野昌磨〕
ショートプログラム 3位 (104.17点)
フリー 3位 (202.73点)
最終結果 銀メダル(306.90点)
平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック第9日は17日、フィギュアスケートの男子フリーが行われ、前日のショートプログラム(SP)首位の羽生結弦(23)=ANA=がフリーでも圧巻の演技を披露し、男子で1948年サンモリッツ、52年オスロ両大会のリチャード・バットン(米国)以来、66年ぶりの2連覇を達成した。昨季の世界選手権2位でSP3位につけ、最後に演技した初出場の宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=が銀メダルを獲得した。
世界選手権2度優勝のハビエル・フェルナンデス(スペイン)が銅メダル。田中刑事(23)=倉敷芸術科学大大学院=は18位だった。
羽生は昨年11月の右足首の負傷から復帰し、日本選手として冬季オリンピックの個人種目で初めて連続で頂点に立った。フリーで映画「陰陽師(おんみょうじ)」の曲を使った「SEIMEI」を演技後に「右足に感謝」と喜びを語り、記者会見では「もうちょっと滑ると思う」と現役続行の意思を表明した。
国際オリンピック委員会(IOC)によると、冬季オリンピック史上通算1000個目の金メダルとなった。今大会の日本の第1号で、通算11個目の「金」。メダル数は9個となり、前回ソチ大会の8個を上回り、海外で開催の五輪では最多となった。フィギュアで複数の日本選手が同時に表彰台に立つのは初めて。
2人は夜のメダル授与式に臨み、羽生は歓声を上げるファンに手を振って満面の笑みで登場。首にかけられた金メダルを何度も握りしめた。宇野は銀メダルを緊張した様子で受け取った。
2022年 北京冬季オリンピック 鍵山優真=銀メダル 宇野昌磨=銅メダル
〔鍵山優真〕
ショートプログラム 2位 (108.12点)
フリー 2位 (201.93点)
最終結果 銀メダル(310.05点)
〔宇野昌磨〕
ショートプログラム 3位 (105.90点)
フリー 5位 (187.10点)
最終結果 銅メダル(293.00点)
北京冬季オリンピック第7日の10日、フィギュアスケートの男子フリーが行われ、初出場の鍵山優真(18)=オリエンタルバイオ・星槎=が310・05点で銀メダル、前回平昌(ピョンチャン)大会2位の宇野昌磨(24)=トヨタ自動車=が293・00点で銅メダルを獲得した。羽生結弦(27)=ANA=は283・21点で4位となり、94年ぶりの3連覇を逃した。
8日のショートプログラム(SP)で2位の鍵山はフリーで映画「グラディエーター」の音楽に乗り、伸びのある滑りなどでアピールした。SPで「オーボエ協奏曲」を演じて3位につけた宇野はフリーでもメダル圏内を守った。鍵山はオリンピックに2度出場した父、正和氏の指導で急成長。宇野は2006年トリノ大会銀メダリストのステファン・ランビエル氏の下で低迷を脱した。
羽生は挑んだクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)で転倒するなどミスが続いた。SP首位のネーサン・チェン(22)=米国=が332・60点で初の王者に輝いた。











