無欲を貫き、米国に24年ぶりの女子金メダルをもたらした。SPを終えて「メダルはいらない。プログラムをちゃんと滑って自分のストーリーを伝えたいだけ」と語っていた20歳のリュウ。燃え尽き、引退、復帰を経て前回6位の五輪に戻ってきたかつての天才少女が「一番のお気に入り」というゴールドの衣装で金メダルをつかみ取った。
柔らかな笑みに、滑る喜びがあふれ出た。2019年の全米選手権を史上最年少の13歳で制し、同年の国際大会でトリプルアクセルと4回転ルッツに成功。次代を担う逸材として脚光を浴びたが「仕事のように感じ、楽しめなくなった」と銀盤に別れを告げた。16歳の若さだった。
スケート靴は一切履かず、きょうだいとのハイキングや大学生活を楽しむ日々を経て「スケートは人生の一部」と情熱がよみがえった。鋭いジャンプ、しなやかな滑りも取り戻し、復帰シーズンの世界選手権で坂本の4連覇を阻止。この日の演技中は「歓声が聞こえ、観客と心が通じ合っている」と1人別世界にいた。
匿名の卵子提供者と代理母から生まれ、弁護士の父は天安門事件に関わって中国から亡命した移民だ。5歳から始まったスケート人生の絶頂期。それでも「みんなには『金メダルを取った』という見出しだけを見ないでほしい。(演技に込めた)ストーリーをちゃんと見てほしい」と、らしさ全開だった。(共同=杉山勝則)











