インタビュー

2025.08.21

映画初出演の高橋大輔さんが発見した「俳優」としての可能性 22日全国公開『蔵のある街』で学芸員役を熱演 W主演と3ショットインタビュー

映画「蔵のある街」 高橋大輔さん

SNSでシェア

 フィギュアスケートの元世界王者、高橋大輔さん(39)が映画初出演を果たした話題作「蔵のある街」(平松恵美子監督・脚本)が、8月22日に新宿ピカデリーなどで全国公開される。出身地の岡山県倉敷市にある美観地区を舞台に、幼なじみの高校生3人が、自閉症の兄のために「小高い山から花火を打ち上げる」との約束を守ろうと奮闘する物語。高橋さんは温かい目で3人を支える美術館の学芸員、古城緑郎役を熱演した。

 日本を代表する映画監督、山田洋次氏の助監督を長年務めた平松恵美子監督から出演のオファーを受け、スクリーンでの演技初挑戦を決意したという。銀盤にとどまらず、銀幕へと活躍の舞台を広げる高橋さん。ダブル主演で作品を彩った山時聡真さん(20)中島瑠菜さん(18)とともにインタビューに応じ、作品の見どころや撮影秘話を語ってくれた。(聞き手 井上将志)

 ※出演者3人(山時聡真さん、中島瑠菜さん、高橋大輔さん)のサインと高橋大輔さんのみのサインを年額会員限定で計2名様にプレゼントいたします。記事の末尾の応募フォームからご応募ください。締め切りは8月31日(日)です。

▽中島瑠菜さん スタイリスト:西村菜月 ヘアメイク:SAKURA(まきうらオフィス)
 ワンピース ¥17,600円【LAEMUSE】https://laemuse.online/
▽高橋大輔さん スタイリング:折原美奈子 ヘアメイク:宇田川恵司 衣装協力:DAKS(ダックス) 三共生興ファッションサービス セットアップ価格 税込¥209,000
▽山時聡真さん スタイリスト:西村咲喜 ヘアメイク:AZUMA(M-rep by MONDO artist-group)

全国公開控え、高橋さん「ドキドキ」

 ―全国公開を控えた今のお気持ちは。

 中島瑠菜さん(以下、中島さん)「うれしいです。やっぱり倉敷で3週間みっちり撮ったので、みんなそれぞれに思い入れもあります」

 高橋大輔さん(以下、高橋さん)「特に二人はね、ずっとだったもんね」

 中島さん「そうですね」

 山時聡真さん(以下、山時さん)「(先行公開した)倉敷も満席で、本当に温かく迎えられている、応援されているなと感じています」

 高橋さん「ドキドキしています。本当に素晴らしい、すごくすてきな映画なので、是非いろいろな方に見ていただきたいなと思っています」

 ―お客さんが入ってこそ完成する、人と人とのつながりがテーマの映画。公開を迎え、お客さんにそのテーマが届いているという実感は湧いてきていますか。

 中島さん「そうですね。私、大学の先生に倉敷出身の方がいて『この映画をきっかけに、倉敷に帰ろうと思った』と言ってくださって、ちゃんと伝わってるんだなと思って、すごくうれしかったですね。実感が湧きました」

 山時さん「湧きますね。先日(倉敷市での先行公開で)バルーンリリースなどいろいろなイベントをやった時に、皆さんが『お帰り』とか『良かったよ』と言ってくださって…。事前に打ち合わせしてくれていたのかなと思うくらいでした。でも皆さんからの拍手や表情を見て、届いているんだなという実感がありました」


 ―『お帰り』という言葉はうれしい。

 山時さん「うれしいですね。僕は東京出身というのもありますが、倉敷が第二の故郷になっているような感じがしています」


 ―実際にお客さんが映画館に入ってみて、どう感じていますか。

 高橋さん「本当に地元倉敷のすてきな風景だったり、良さだったり、すごく誇らしく思いますね。倉敷出身ではない方々も、それぞれの故郷に『戻ってみようかな』と思っていただける映画になっていると思います。映画を見て、地元の良さを伝えていこうかな、と思う方もたくさんいるんじゃないかな。そういう意味でも、見ていただくことで(故郷への愛が)どんどん派生していくと思っています」


 ―故郷が舞台の映画に出演するというのは、どんな気持ちでしょうか。

 高橋さん「うれしいですね。知っている場所もあれば、これまで当たり前に見ていたけど、映像で見ると『こんなにすてきに見えるんだ』とか、新しい見え方ができるシーンもすごくたくさんあったので。いろんな視点で地元を見ると、また違って見える。そういうのをすごく感じたように思います」


 ―人とのつながりがテーマの映画で、撮影を通して出演者同士のつながりも生まれたのでしょうか。

 中島さん「お食事する時とか、皆さん年齢も全然違うんですけど、たくさん話すことによって、どんどん距離が近くなるような感じがして、すごくつながっていっているなと思いました」
 

映画「蔵のある街」先行公開を記念したイベントで写真に納まる(左から)平松恵美子監督、高橋大輔さんらキャスト陣=7月25日、岡山県倉敷市(撮影:井上陽南子)

チームワークが深まったシーンは…

 ―山時さんと中島さんは、高橋さんの選手時代はご存じでしょうか。

 高橋さん「知らないでしょ(笑)」

 山時さん「いえいえ、知っています。もちろん知っていますよ」

 高橋さん「知らないと思いますよ。20歳くらいの方はね」

 山時さん「いやいや。知ってます」

 高橋さん「でもね、本当に、絶対しゃべらないじゃないですか。映画というキッカケがなければ」

 中島さん「映画がなかったら、そうですね」

 高橋さん「この映画という一つのキッカケで知り合うことができて、普段交わらない方たちといろんなお話をさせていただいた中で、年齢に関係なく学ぶこともあり、そういった経験ってとても貴重だなと思っています。僕は初めての映画出演ですが、本当に皆さん素晴らしい、良い人なんですよ。すごいナチュラルで、フラットで、優しくて…。最初、もうとてもドキドキして、でも普通にしゃべってくれるから『良かった、優しい現場だ』と思って」

 山時さん「それは大人の皆さんのおかげです。それこそ『子供と大人の壁』みたいなのは、この作品の重要な部分だと思うんですけど、そういう壁を感じさせず迎え入れてくれたからだと思います。あとは集会所のシーン(高校生3人と学芸員の古城が、花火の打ち上げを巡って美観地区の大人たちと激論を交わす場面)があるじゃないですか。あそこはみんながすごく課題としていたシーンではあったんですけど、丸一日かけた撮影が終わって、みんな一番いい芝居ができて『終わった』『よく頑張ったね、僕たち』みたいに、またそこでチームワークが深まった感じがあって、そこは『つながった』という印象がありました」

 高橋さん「すごいな(笑)」

 山時さん「いやいやいや(笑)」


 ―高橋さんから見て、お二人のすごいなと思った演技は。

 高橋さん「全部ですよ。集会所のシーンは特にですけど、2人とも泣きのシーンだったんですけど、僕は泣いたらダメなんですね。でも、リアルに泣きそうになっちゃって『泣いちゃダメだ』と思いながら(苦笑) それくらい本当にリアルで、すごくグングン、グングン伝わってくるんですよね。結構ラフにこんな感じで話していたのに、スイッチの入り方がプロだなと思って」

 山時さん「だって、実際に座布団を当ててますからね。本気で当てていいよと言われたので、本気で行きました」

 高橋さん「うわーってやっている中でも、すごく冷静な部分をしっかりと持っていて、その辺りが『プロフェッショナルだな。これは年齢じゃない。仕事として、役者としてずっとやってきた先輩はすごい』という気持ちでした」


 ―逆にお二人から見て映画初出演の高橋さんの演技はいかがでしたか。

 中島さん「初めてとは思えないくらい、真摯に言葉を紡いでくださって、私自身とても良い時間をいただけたなと思いました」

 高橋さん「本当ですか?良かった(笑)」

 山時さん「人前に立って表現することには慣れてらっしゃると思うので、そういうところも含めて勉強になりました。長ゼリフが多かったので、セリフをずっと練習されていて。僕もちょっと滑舌が悪い時があって悩んでいて、一緒に練習させていただいたこともありました」

 高橋さん「アドバイスをもらったりして」

 山時さん「いえいえ、アドバイスだなんて。ずっとセリフを練習されていたので『まずい(自分も)絶対に間違えられない』と思いながら、練習していました」
 

「緊張しいだし、人見知り。だけど本番になると別人になる」

 ―どんな思いを持っていつも演技に向き合っているのでしょうか。

 中島さん「私は演技の時は、その場その場での会話の中で(相手から)もらった気持ちをそのまま自分も返せたらいいなって思って挑んでいます。今回の紅子(自閉症の兄を持つ女子高生)だったら、すごく表情が後半にかけて変わっていくと思うんですけど、そういう言葉以外のところでも紅子の人間としての気持ちの変化だったりとがちゃんと伝わったらいいなと思いながらやっていました」

 山時さん「カメラを通して、見てくださった方の心に矢を射る、という意識はありますね。カメラを意識して撮影するというのもそういうところだと思うんですけど、どれだけお客さんに表情が見えているか、どれだけ心に届くかというのを意識しつつ、やっぱりお芝居は会話のキャッチボールで目の前にいる人と会話をして成り立つものなので、その両方を意識しながら、絶妙なラインを自分なりに作ろうと頑張っています」


 ―俳優業に興味があると話されていた高橋さんは、お二人を『先輩』と表現されていました。そんな先輩俳優にとって、演じることの魅力とはどんなところにあるのでしょうか。

 中島さん「生活していて経験し得ないことを、この現場とか映画を通してできるというのはすごい、そういうのが魅力だなと思います。今回であれば紅子の人生を知ることができるし、また別の役であれば、その人のことを知ることができる。そう思うと、すごく楽しいです」

 山時さん「確かに、いろんな人になれるしね。やっぱり、今まで演じてきて『救われました』とか『僕も頑張ってみたいと思います』といったコメントをSNS通じてもらえたりして、誰かを救えているという時点でやっている意義があります。自分が生きていて、誰かに良い影響を与えられている、というのはなかなかないことというか、これほど幸せなことはない。そこに意味を感じています」


 ―映画で演じるという経験はいかがでしょうか。

 高橋さん「僕も人との壁が結構遠い方なので、それを乗り越えてその場ではできるというか、緊張しいだし、人見知りだし、だけど本番になると別人になるじゃないですか。そこの、すごく深いつながりみたいなものは、普段では経験できないことですね」

 山時さん「スケーターの役がきたら高橋さんに直々に教えていただいて」

 高橋さん「めちゃくちゃ厳しく指導しますよ、ここぞとばかりに(笑)」


 ―ちなみにスケートのご経験は。

 中島さん「ちょびっと(笑)」

 山時さん「あります。多分人生で5、6回くらい。やっぱり忘れてしまうんですよ、1年くらい空くと。感覚が鈍るので。でも30分くらいやれば慣れます。筋肉痛は半端ないですけど。(スケーターは)すごいですよね、どんな筋肉を使っているんだろうというくらい」


 ―まだアイスショーはご覧になったことはないですか。

 山時さん「現地ではないですね」

 中島さん「ないです」

 高橋さん「お忙しいからね。是非、暇だったら見に来てください。40手前で、頑張ってます」

 中島さん「行きたいです」

 山時さん「でも本当に、役者として最初に知り合っているので、逆にね」

 高橋さん「スケーターの方が違和感がある?」

 山時さん「その世界線の高橋さんを直接見ること自体が多分、不思議な気分になってしまうのかなと思います」

 高橋さん「暇だったら見に来てください」

 山時さん「是非、行かせてください」
 

「新しいことを知れる、発見しかない、それが楽しみ」

 ―演技には正解がないし、金銀銅メダルもない。その中で上、理想を目指すというのは、どのようなメンタリティですか。

 高橋さん「上を目指すとかはないですよ、すごい人数いらっしゃいますから。でも新しいことを知れる、発見しかない、と思うので、それが楽しみなのかなって思います。いや、でも役者じゃないから二人の前で話すの嫌なんですよ(笑)」

 
 ―でも今回の役は納得の形で作り上げられたか。

 高橋さん「いやいやいや。そんな納得とかは全然ないですよ。後から見て『もうちょっと、こうすれば』ってありますよね」

 山時さん「あります」

 中島さん「あります」

 高橋さん「全然ダメダメでしたよ。頑張りましたけど、必死で頑張りましたけど」


 ―役割の解釈で何か自分なりの方法は。

 中島さん「私は今回自閉症のお兄ちゃんを持っている役だったので『光とともに…』という漫画があるんですが、小学生の頃からずっと読んでいたので、それを読み返してみたり。あとは(女子高生役が)絵描きなので、造形クラブに一瞬だけ行ったことがあったので『あの時、何を教えてもらったっけ』と思い出しながら演じたりしていました」

 山時さん「役作り、みたいなものですよね。僕は本当に台本を読んだ回数だと思っているんですよね。どれだけ理解できるか。感情とか環境を理解できなかったら、参考になる他の作品や本も読みますが、台本を全部読んで全体像をしっかり把握する、というのが自分の目標で、今回はセリフの多いシーンや出番も多かったので『ここは、こういう役割を担っているシーンだ』など、そういったところは意識しています。シーンごとに撮っているので、それを意識しておかないと、すごく不自然に見えてしまうので。(映像が)つながった時のこともイメージしながら、今はそういうことを意識しています」


 ―ばらばらに撮影して、編集で一つの作品になるという経験は初めて。

 高橋さん「初めてでした。こうなるんだ!って。自分が出ていないシーンは見られていないので、台本は読んでいて話は分かってはいたので『こういう絵だったのか』と。自分の頭の中と違ったりして、それも面白かったですね」
 

「本当に好きなことは、大変なことでも乗り越えられる」

 ―高橋さんのセリフで『才能とは情熱や愛情をずっと持ち続けることだよ』というものがあった。まさにスケーター高橋大輔と重なると思った。

 高橋さん「そんな情熱は持ってないですけどね(笑) 知らないうちにこうなっていただけですけど。でも、本当に好きなことって大変なことでも乗り越えられるし、自分の気持ちが入ってないものを続けるというのは、かなり大変なことだと思っています。僕もそうですし、お二人もそうだと思いますが、今好きなことをやっているからこそ、大変さも楽しめる。多分、続けていくということが一番難しいことなのかな、情熱を持ち続けていくことが大変なのかな、と感じることはありますね。ただ好きなだけで『面白くなくなったから、やめよう』というのは情熱を持っていないと思うんですよね。そこを乗り越えていこうってことが情熱を持っていることで、そのパワーは他のものに負けないものなんじゃないかなと。情熱を持つということは、苦難に負けないものなのかなと思います」


 ―スケートをやめようと思ったことはない。

 高橋さん「あります」


 ―どんな時にくじけそうに。

 高橋さん「まあ、思春期ですね。遊びたい!って。今はもうないですけどね、やめたいと思うこと、しんどい時はあるよね」


 ―お二人はやめたいと思ったことはありますか。

 山時さん「ありました。僕は東京生まれなんですけど、小学1年生から6年生までは福岡にいて、また東京に戻ってきたんです。そのタイミングでやめようと思いました。習い事感覚だったからですかね。仕事だと思っていなくて、サッカーとか空手をやっていたんですが、それと全く一緒の感覚でやっていたので、やめようと。でもこっち(東京)に来て事務所に入って、先輩たちのことも知って、そうなると、仕事に対しての意識が変わって『ずっとこれを仕事にできたらいいな』と中学1年ながら思いました」


 ―これが私の情熱だなと思うことや、逆にくじけそうになることは。

 中島さん「まだ(役者を)4年くらいしかやってないので何とも言えないことの方が多いんですけど、今は楽しいなという気持ちでやれています」


 ―すごく良い現場だったんですね。

 中島さん「皆さん優しくて、本当に楽しい現場でした。ありがとうございます」
 

「蔵のある街」先行公開イベント=2025年7月、岡山県倉敷市(撮影:井上陽南子)

撮影を通じて感じた「故郷」倉敷の素晴らしさ

 ―倉敷の風景からインスピレーションを得たりは。

 中島さん「すごく空が広く感じて、ちょっと自由になれた気持ちはあったかもしれないです」

 山時さん「気持ちいいよね、外に出ていてね。空気もきれいだしね」

 中島さん「気持ちいい。やっぱり晴れが多いからすごい明るい。(葛藤する)紅子には生かしてはダメだな、とは思ったんですけど、すごい明るい気持ちにはなれていいなと思いました」

 山時さん「それこそ、映像で花火が上がるところでは、建物が低いので、とてもきれいに見えるし、見上げている感じがすごいしました。(共演の)前野(朋哉)さんがおっしゃっていたんですが、映画館で花火を見ることに意味があると。それは倉敷だからこそ、映像に映る花火もすごくきれいなんじゃないかなと思いました」


 ―映画出演を経て、改めて倉敷のアピールを。

 高橋さん「それこそ倉敷は晴れが多いので、陽気な方、おおらかな方が多いですよね。大人たちは(最初は花火の打ち上げに)反対するんですけど、雰囲気的にも、すごくそういうものも出てましたし、古い街並みもそうですし、畑とか空とか自然なものっていうのもすごくすてきに描かれていた」

 山時さん「そうですね。田んぼとか畑とか、僕も自転車でバーッと走るシーンがあるんですが、気持ち良かったです」

 高橋さん「自分にとっては当たり前だったので自分では分からなかったけど、改めて、すてきだなと思いました」


 ―倉敷の市長も出演されていた。

 高橋さん「市長さん、びっくりしましたね。市長さん、ここで出てくるんだ!って。僕は小さい頃からお世話になっていたので、親戚じゃないけど(笑) そういうところも倉敷人としては面白かったですね。知っている人がたくさん出てくるというのは」


 ―印象に残っているセリフ、シーンは。

 山時さん「きょん君(自閉症の兄)とのシーンは?」

 中島さん「印象深いですね。家族とご飯を一緒に食べる中で、最初の方はふりかけも私がかけてあげる、という感じだったんですが、市長さんが出ていた駅に迎えに行くシーンで、お兄ちゃんもちゃんと一人で帰れるし、ご飯も別に私が手助けする必要がないくらい、自分で成し遂げられるようになっていて、人の成長を見た、印象に残っているシーンです」

 山時さん「(食卓を映す)同じ画角だった」

 中島さん「そう、同じ画角だった」

 山時さん「すごく分かりやすいよね。結構うるっとしてしまう場面だった」

 中島さん「そう」

 山時さん「僕は…。(髭の男役の)橋爪(功)さん。貴重なものを見た感じがすごいので。最後、しゃべるじゃないですか。『やるべし、大いにやるべし』って。あの一言がもう、ズドーンと。やはり一流を見た感じがしました。大御所の大先輩を見て、そういうのを感じました」

 高橋さん「(高校生の)3人というか(櫻井健人さんが演じる亀山)祈一と(山時さん演じる)蒼、ああいうやつら本当にいるよね(笑) どこの地域にもいるよね、すごい絶妙なバランスで、めちゃくちゃ好きで。すごく救われるんですよね。暗い話もあるんだけど二人が常にいいバランスでいるからこそ、救われるというか。だから結構来た!って感じですね」


 ―高橋さん演じる学芸員と、中島さん演じる白神紅子はMEGUMIさんが演じた紅子の母を巡って、最初は微妙な関係にあった。お互いが分かり合っていく過程をどう演じたのでしょうか。

 中島さん「お母さんを連れて行ってしまってね。でも、その後に鐘の鳴る海のシーンで(高橋さん演じる古城緑郎に)お母さんの話をしてくれる女性の元に連れて行ってもらって『あ、この人はただお母さんを奪ったのではなく、ちゃんとお母さんのために動いてくれていた人なんだな』と分かって理解して、感謝の気持ちが芽生えたんだろうなと」

 高橋さん「僕も(映画の中で)距離感が微妙だったので、あんまり(中島さんと)しゃべらないように気をつけました。シーンでも拒否されるような場面が多かったので。(お互いを分かり合えた後の)海のシーンではすごい関係性が変わっていたから、僕も走って行くんですけど、きょん君を見ていて、すごくほほ笑ましくて幸せな気持ちになっちゃって、こうやって人ってどんどん壁が剝がれていくと、こんなにも受ける印象が違うんだとか、そう思って。(紅子の)幸せそうな顔を見られたら、すごくうれしくて」

 山時さん「それが役作りの一つ、いいところですよね」

 中島さん「私も、あのシーンの後から一緒に写真を撮ったりできました。すごくきれいな場所だったので」
 


【年額会員限定】出演者3人のサインと高橋大輔さんのサインをそれぞれ1枚、計2名様にプレゼント!

 映画「蔵のある街」全国公開を記念して、「出演者3人(山時聡真さん、中島瑠菜さん、高橋大輔さん)のサイン色紙」と、「高橋大輔さんのサイン色紙」をそれぞれ1枚、計2名様に年額会員限定でプレゼントいたします。
 応募は以下のフォームからお願いします。8月31日(日)締め切りです。当選者の発表は、発送をもってかえさせていただきます。


高橋 大輔(たかはし・だいすけ)

フィギュアスケート男子で冬季五輪3大会に出場。2010年バンクーバー五輪銅メダル、2002年世界ジュニア選手権と2010年世界選手権の優勝は、いずれも日本男子初の快挙だった。2014年に現役を退き、2018年に復帰。2020年にアイスダンスに転向し、村元哉中と組んで2022年全日本選手権を初制覇した。2022年四大陸選手権2位と2023年世界選手権11位は日本勢最高位。昨年5月に引退を表明し、アイスショーなどで活動する。関大卒。1986年3月16日生まれの39歳。岡山県倉敷市出身。

山時 聡真(さんとき・そうま)

5歳より芸能活動を開始し、2016年『ゆずの葉ゆれて』で俳優デビュー。 近年の出演作に映画『ラーゲリより愛を込めて』(22)、『君たちはどう生きるか』(23)、『あのコはだぁれ?』(24)、『アンダーニンジャ』(25)、ドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に◾️された」(23/NTV)、「民王R」(24/EX)などがある。2005年6月6日生まれの20歳。東京都出身。

中島 瑠菜(なかしま・るな)

2021年、松竹グループのオーディション『松竹 JAPAN GP GIRLS CONTEST Supported by BookLive』でグランプリを受賞しデビュー。出演作に『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(23)、『鬼平犯科帳 血闘』(24)、『九十歳。何がめでたい』(24)、『うちの弟どもがすみません』(24)など。Seventeen(集英社)専属モデルも務める。2025年大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK)に出演中。2006年10月10日生まれの18歳。熊本県出身。

作品の背景

頑張って生きるあの人に、笑顔と希望を届けたい
 高校生たちの強い願いは、街中の人々を巻き込んで、
  やがて大きな希望になっていく――
 
 「約束じゃ。この街に、でっかくて綺麗な花火を上げちゃる」自閉症の青年と、夢をあきらめかけている同級生を励まそうと、とっさに口から飛び出した約束。その言葉が、街に思いがけない波紋を呼び起こす!
 
 無謀な計画だと笑われても、厳しい現実にくじけそうになっても、ひたむきに突き進む。そんな高校生たちの強い願いは、やがて大人たちを巻き込み、大きな希望になっていく——。
 
 この物語が生まれたきっかけは、2020年から続いたコロナ禍の最中、日本全国の約300もの街で開催された「サプライズ花火」。過酷な環境で働くエッセンシャルワーカーへの感謝、楽しみを奪われた子どもたちへのエール、今は会えない人との再会を願う気持ちなど、さまざまな思いをこめた花火が夜空に打ち上げられ、人々に明るい笑顔と希望をもたらした。そして2025年。今を生きるすべての人たちに向けた“応援の花火”が、爽やかなひと夏の青春物語とともにスクリーンに打ち上がる!

井上 将志

この記事を書いた人

井上 将志 (いのうえ・まさし)

2003年共同通信入社。名古屋でプロ野球中日、フィギュアスケート、本社運動部でフィギュア、体操、東京五輪組織委員会を中心に担当。五輪は10年バンクーバーから夏冬計7大会を取材した。ジュネーブ支局時代は欧州を中心に世界各地をカバー。東京都出身。

おすすめ記事

あわせて読みたい

ピックアップ