10年以上にわたってフィギュアスケートの衣装を手がける中で、さまざまな挑戦を続け、表現の幅を広げてきた伊藤聡美さん。フィギュアスケート文化の醸成に貢献したいと、初心者向けにオンラインサロンを開き、指導もしてきた。最近では力士の着物を手がけたほか、一点物へのこだわりを突き詰め、2026年にパリで開かれるファッションショーにも参加するという。
他方で、『ISUアワード 2026』で最優秀コスチューム賞を受賞したイリヤ・マリニンら、海外選手からも依頼を受ける中で、日本ではフィギュアスケート衣装デザイナーの地位がまだ高いとはいえないといい、衣装の決定、受注と発注の関係に疑問を投げかける。(インタビュー=前山千尋、品川絵里)
デザイナーの役目、イメージを超えるデザイン
―2025年のISU(国際スケート連盟)のフィギュアスケートアワードでノミネートされたマリニン選手のフリーの『I'm not a vampire』の衣装は、耽美的で、美しすぎて怖いみたいなところがあるのかなと感じました。それが伊藤さんの持ち味なのかとも思うのですが、そういう意味で伊藤さんの魅力が伝わって評価されているのではないでしょうか。どうやって作られたんですか?
「ヴァンパイアは2着作ったんです。血のりが付いてるシャツと、もう1つ黒いスーツのようなものを作りました。どっちも自由にデザインさせてもらって、マリニン選手が『どっちもいいので、どっちも作る』ということでした。その時、ちょうどご本人がアイスショーで来日していたので、そのタイミングで合わせてフィッティングもさせてもらえました。シャツをフィッティングした時に『血をここにつけたいんだ』っておっしゃって。本人のリクエストもあって血のりをつけました。マリニン選手には基本はまかせてもらって、細かい部分で好みを反映させていくような感じでしょうか」
「今シーズンはショートとフリーをどちらもやらせてもらっています。どっちも気に入ってくれていると感じています」
―マリニン選手は伊藤さんから見るとどんなイメージの方だから、こうデザインするっていうのはありますか?
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