冊子を監修した田中刑事さん「ピカチュウ、オーラすごい」 小学生以下対象のコラボ企画「ポケモンスケートチャレンジ」 課題クリアでシール〝ゲット〟「図鑑みたいに集めて」

スケート教室に登場し、ピカチュウと特別講師を務めた田中刑事さん=11日、横浜市のコーセー新横浜スケートセンター(©Pokémon/Nintendo/CR/GF)

 日本スケート連盟は6月以降に人気ゲーム「ポケットモンスター(ポケモン)」とのコラボ企画「ポケモンスケートチャレンジ」をスタートさせる。「氷上に立つ」「スピンをする」など52の課題を掲載した冊子を全国14カ所のリンクで配布。課題をクリアするごとにシールや特製バッジを〝ゲット〟できる仕様で、子どもの競技普及に向けてゲーム感覚で取り組んでもらう考え。冊子を監修した2018年平昌冬季五輪フィギュア男子代表の田中刑事さんに思いを語ってもらった。

 日本スケート連盟「ポケモンスケートチャレンジ」のサイトはこちら
https://www.skatingjapan.or.jp/pokemon/

 ―ポケモンスケートチャレンジを監修した。どういう意図でやった。
 「『最初、練習課題が50項目ぐらいない?』って聞かれたので、そこから始まって、何となく50項目決めるっていうよりも、どれくらいでできるかなって思って、52項目あるんですけど、うまい子でも3カ月から半年ぐらいはかかるかなっていう感じで作ってみました。『こおりタイプ』のポケモンが52匹使えるってことで」

ピカチュウと記念撮影するスケート教室の参加者ら=11日、コーセー新横浜スケートセンター(©Pokémon/Nintendo/CR/GF)

 ―52匹のうち、田中さんはどれぐらいご存じでした。
 「半分以下。僕がやっていた頃からだいぶ増えているんで。でも、普通にこの冊子を見ていると、図鑑みたいな感じがするんで集めたい子は楽しいのかなと思います」

 ―ポケモンゲームをやっていた経験はある。
 「やっていました。高校生、大学生ぐらいまでは遊んでいましたね。今だとポケモンカードとかもありますし、選手でも結構、遊んでいる子は遊んでますね」

 ―今日、ピカチュウが出てきたら、子どもたちの反応がすごかった。
 「やっぱりピカチュウすごいなって(笑)。いや、もう何て言うんですかね、オーラが、いや、悔しいって言ったらおかしいですけど、すごい選手が滑っているかのようなオーラが、もう立っているだけで、やっぱ氷に立っているだけで相当、パワーがあるんだなっていうのは、僕が見本動画を撮っている時もそうなんですけど、ピカチュウが滑っているだけでもすごく絵になるなって思っていたんで、やっぱりかわいいですし、人気もあるし、すごいものとコラボするんだなっていう実感はあったんで、子どもたちがどういう反応するのかなっていうのは、すごく今日楽しみだったなっていう。やっぱり目がキラキラしているのはすごく感じました」

 ―今回のプロジェクトをどう広げていきたい。
 「ポケモンが大好き、ポケモンのシールを集めたいからでいいので、スケートに興味を持っていただくっていう入り口としては、もうこんなにいい入り方はないと思うし、別にスケートに興味なくても、ポケモンが好きでやってみたい、スケートリンクに行ってみようっていう目的でいいので、本当にそこからスケートをやって、ちょっとハードルは高い部分はあるんですけど、そこからやっていくうちに、スケートってこんな技があるんだって、こんなことをすればシールもらえるんだったらみたいに。勉強をやれっていうと、あんまりやりたくないですけど、スケートをやりながらシールがもらえるんだ、そこからいろんな技を覚えていくと、気づいたら滑れるようになったと。それで最終的にはこれ全部クリアしても、まだスケートに通ってみたいなって。やっぱり続けてみたいなって思うのが最終ゴールで、そこから夢を見ると、やっぱり選手につながっていくというのが、きっかけになっていくのが、ちょっと先になるかもしれないですけど、そこが最終的なこの企画のゴールラインかなと思います」

ポケモンスケートチャレンジの冊子とシール(©Pokémon/Nintendo/CR/GF)

 ―初級、中級、上級とそれぞれのカテゴリーを制覇すると、バッジがもらえる。
 「この企画は今のところ小学生以下を対象にしているので、小学6年まで。バッジテストの8級よりも難しいんじゃないですかね(笑)。大人の方が取るのは無理なので。うまい選手は逆にこれに参加できないのは悔しいんじゃないですかね。ポケモンをすごく好きな選手が多いので。でも、これから将来、何のスポーツをしようかなっていう一つのきっかけとして、本当にやってくれたらうれしいなっていう感じです」

 ―スケート教室ではどういうアドバイスを実際に送っていた。
 「基礎スケート教室なので、スケートリンクに来て最初にやることだったり、最初は全然フェンスから手を離せなかった方が、フェンスから離れて、1人で立って歩けるっていうところまで、1時間もない時間でできるっていうのは、すごく達成感につながると思うんで、そういった部分と、冊子でも初級編で8個ぐらいはたぶんすぐに埋まるかなっていう部分があるのも達成感をすぐに味わってほしい部分でもあるので、これだけで成長するんだっていうのは、本当に今、小学生が対象ですけど、自分って成長するんだなっていう部分をシールで実際に見て、楽しめたら、どんどんやっていこうっていう気になるのかなっていう部分も掛け合わさったらいいなって思います」 

 ―最初はすごく埋まりやすいと。どの辺りでハードルがあったり、難しいことを面白いって感じる流れにしているか。
 「初級、中級、上級って一応分けてはいるんですけど、正直どこからやってもいいですし、教える先生のやり方で正直いいので、本当にどこからどうシールを貼ってもいいと思っていて、一つの目安として図鑑を集めるような感覚として、これをスケートを楽しむきっかけ、このポケモン好きだからここクリアしたいなって思う気持ちでいいので、そこから入っていってくれたらいいかなって。自分の好きなポケモンがいれば、その技を頑張って覚えようってすればいいですし、順番はあるようでないって思っているので、好きにそれぞれのスケートリンクのスケート教室でこれから開催されると思うので、そのリンクに合った運用の仕方、子どもを引きつける一つのアイテムとして使ってくれたらいいなと思います」

 ―田中さんが始めた頃の感覚でやったら、どれくらいできる。
 「結構、難しいです。難しいっていうのは、ちゃんと先生に教わらないとできない部分もある。今、日本スケート連盟のサイトで見本動画がありますけど、あれを見てできるかって言われると、ちょっと難しい。ちゃんと教えていただいて、できる部分もあるんですけど、そこもやっぱり各地方の先生方が、これをアイテムを使って教えるきっかけ、教わるきっかけっていうのもつくってほしいので、1人じゃちょっと難しいなっていう部分、でも、それってやっぱりスケートをしっかりちゃんと教わるっていう環境づくりとしてもいいのかなって思います」

田中刑事さんとともにスケート教室に登場したピカチュウ=11日、横浜市のコーセー新横浜スケートセンター(©Pokémon/Nintendo/CR/GF)

 ―正しい技術を学ぶっていうところでもいい。
 「教え方って、たぶんそれぞれの先生で全然、アプローチの仕方が違うんで、もうそこは先生方にお任せして、だから順番どこからでも。私はここから始めるんですっていう方も絶対いると思うんで、もう全然、そういうのはもうお任せしますっていう。でも、本当にそれぞれの先生がやりたいように教えていただいた方が、絶対、先生方もいいように使っていただけるといいかなっていう感じです」
 「あと最終的にもらえるバッジが、モンスターボールの入れ物に入っていて」

 ―52項目を達成すればバッジテスト初級も狙える。
 「かじるくらい。初級が見えてくるだけで、受かりはしないですね。全然、課題は違うんですけど、本当にかじるぐらいにはなるかなと思います」

 ―これを全部やった後にフィギュアじゃない競技に行くっていうのも。
「それはもちろん子どもの選択。きっかけとしてはすごいいい道のりだと思うので、楽しくつなげていただければ。アイテムとしては素晴らしいので、あとは先生方のやり方だったり伝え方で、どう選手に引き込むかまでは、本当にこれだけじゃ正直、無理だと思うんで先生に任せたい」

 ―田中さん自身はバッジテストでバッジをもらうと気分が高鳴った。
 「いや、うれしかったですね。そういうシステムを最初知らない状態からやってバッジがもらえるんだと思っていましたし、本当、年齢を重ねるって別にそんなあんまり興味なくなるんですけど(笑)。興味がある時期になおさらポケモンってなるとこっちの方がたぶん、さっきも言ったように大きい子じゃもうもらえないので」

 ―数年後、フィギュア選手としてっていうのがあったらうれしいんじゃないか。
 「うん、そうですね。ここから始めましたって言ってくれるとうれしい」

取材に応じる田中刑事さん(©Pokémon/Nintendo/CR/GF)
日本スケート連盟「ポケモンスケートチャレンジ」のサイトはこちら
https://www.skatingjapan.or.jp/pokemon/
藤原 慎也

この記事を書いた人

藤原 慎也 (ふじわら・しんや)

全国紙で5年間の勤務を経て、2014年に入社。名古屋でプロ野球中日を取材。2016年末に東京運動部へ異動し、フィギュアスケート、体操、パラスポーツを担当。だんじり祭りで有名な岸和田市育ち。