フィギュアスケートの元世界王者、高橋大輔さんが5日、横浜市の横浜アリーナでアイスショー「氷艶 hyoen 2025―鏡紋の夜叉―」の初日に出演した。人気グループ「NEWS」の増田貴久さんとのダブル主演で、せりふや生歌のほか、戦闘シーンでは殺陣や宙づりも披露した。
高橋さんの故郷、岡山の昔話「桃太郎」の元となった温羅伝説をベースにしたストーリー展開で、高橋さんが鬼となる白霧族の若き王子「温羅(うら)」を、増田さんが朝廷側が生み出した殺戮兵器「吉備津彦(きびつひこ)」を演じた。演出は堤幸彦さん。
高橋さんは、心優しい青年だった温羅が、朝廷との争いを経て、徐々に人間らしさを失っていく過程を熱演した。



温羅の婚約者「阿曽媛(あぞめ)」を演じた俳優の森田望智さんは、4歳からフィギュアスケート始めた経験者。高橋さんと組んで滑走する場面では、伸びやかな息の合ったスケートで恋する二人を表現した。

荒川静香さんや村元哉中さん、田中刑事さん、島田高志郎(木下グループ)も共演。
過去3回の「氷艶」に続いて出演した荒川さんは、白霧族守護神である「鉄の女神」役で、高橋さんと同様、激しい殺陣や宙づりもこなし、妖しくも荘厳な女神を体現した。
村元さんは白霧族の祈り女「幽(かすみ)」役。せりふはなく、衣裳をたなびかせて幽艶に滑る姿は、善と悪が逆転していく物語に癒やしを添える存在となった。


田中さんは、桃太郎の猿に当たる「楽々森彦命(ささもりひこのみこと)」、島田は犬に当たる「犬飼健命(いぬかいたけるのみこと)」として、キジの「留玉臣命(とめたまおみのみこと)」役の俳優・財木琢磨さんとともに、スピード感あふれるアクションシーンを好演。吉備津彦の世話役である3人組は、堤さん演出のコミカルなやりとりで観客の笑いを誘った。


音楽を手がけたロックバンド「LUNA SEA」のSUGIZOさんは、ギターやバイオリンを舞台上で生演奏した。カーテンコールではスケート靴を履いて、出演者と一緒に氷上を一周した。
氷艶はフィギュアと日本文化を融合したストーリー仕立てのショーで、昨年に続き4度目。7月7日まで公演する。

初日を終えての出演者のコメント
高橋大輔さん
「氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-」の幕がいよいよ上がりました。岡山の温羅伝説に根ざした物語を、自分の ルーツと重ね合わせながら表現できることに、非常に大きな喜びと責任を感じています。昨年、実際に鬼ノ城を 訪れ、歴史の重みを肌で感じた経験が、今の僕の演技や想いに深く息づいています。
共演の増田貴久さんをはじめ、素晴らしいスケーターや俳優の皆さんとともに、この壮大な物語を創り上げられることが何より嬉しいです。そして、SUGIZOさんの音楽が紡ぎ出す世界に乗せて、観客の皆さんとともに「悪」や「大義」という普遍的なテーマについて、深く考え感じる時間を共有したいと思います。この舞台で、新たな自分の一面をお見せできるよう、最終日まで全力で挑みます。どうぞご期待ください!
増田貴久さん
いよいよ今日から「氷艶」始まりました!
素敵なメンバーに囲まれて温かく、ピリッとした氷上で沢山沢山沢山沢(←トリプルアクセルくらい)お稽古しました。 自分にとっては39歳になって1発目のステージになります。吉備津彦の人生を精一杯生きます。 よろしくお願いします!
SUGIZOさん
ついに『氷艶 hyoen 2025 -鏡紋の夜叉-』が幕を開けました。この舞台に作曲家・パフォーマーとして参加できることを、心から光栄に思っています。
堤幸彦監督とは約25年越しの念願のコラボレーション。唯一無二の堤ワールドと、フィギュアスケート界のトップ アスリートの皆さん、素晴らしい役者の皆さん、そして僕の音楽が融合することで、想像を超えた化学反応が起こると確信しています。日本文化の深淵な美しさと氷上の芸術美を極上の形で昇華させた、この渾身の新しいロック オペラを、是非多くの方に体感していただきたい。全身全霊で挑むこの作品に、どうぞご期待ください!
堤幸彦さん
初日!勝手に「アイスランド」とよんでいた氷上の演出席から解放された。この数週間、新潟やら千葉やら横浜 やら、そこで見てきた「氷艶」は奇跡的なシーンの連続!トップスケーターのF1なみのスピード表現、氷に照ら される役者の美しさ、オペラのように音楽を魔術にするSUGIZO氏、限界をあらゆる意味で超えるスタッフ!チーム氷艶ヤバい!ご期待あれ!