はじめてのフィギュアスケート

2025.11.20

オリンピックには何歳から出場できる? フィギュアスケートの年齢制限を解説

 フィギュアスケートの北京冬季オリンピック代表に決まり、記念写真に納まる(左から)男子の鍵山優真、宇野昌磨、羽生結弦、女子の坂本花織、樋口新葉、河辺愛菜、アイスダンスの小松原美里、小松原尊=2021年12月26 日夜、さいたま市

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 国際スケート連盟(ISU)は2022年6月、冬季オリンピックなどのシニア国際大会に出場することができる年齢制限を15歳(新シーズンが始まる7月1日時点)から17歳へと変更しました。年齢制限の引き上げは1996年の14歳から15歳への見直し以来。ISUは低年齢の選手に対し、燃え尽きや食事制限、大けがを負うリスクなど心身の負担を避けることを理由に挙げています。

長野冬季オリンピック女子フリーで逆転し、金メダルを獲得したタラ・リピンスキー(米国)=1998年2月、ホワイトリング

 1988年長野冬季オリンピックで最年少15歳の金メダリストに輝いたタラ・リピンスキー(米国)はすぐに燃え尽き、大会後早々にプロへ転向しました。2018年平昌冬季オリンピックに15歳で臨み、他を圧倒するジャンプの構成で金メダルを手にしたロシアのアリーナ・ザギトワも17歳で活動を休止。4回転など高難度のジャンプによる故障は増加し、競技力向上の裏で選手の身も心も危うさをはらんでいました。

 さらに、2022年北京冬季オリンピックの女子で15歳だったロシアのカミラ・ワリエワにドーピング問題が発覚。世界反ドーピング機関(WADA)の規定で16歳未満の「要保護者」に該当したため、スポーツ仲裁裁判所(CAS)が出場継続を容認した判断が物議を醸し、年齢制限引き上げの議論に注目が集まっていました。

 既にシニアの国際大会に出場している選手に影響が及ばないように考慮し、2022-2023年シーズンは15歳だった年齢制限が2023-2024年シーズンは16歳、2024-2025年シーズン以降は17歳へと段階的に引き上げられました。 

2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックのフィギュアスケートとショートトラックの会場=イタリア・ミラノ(共同)

ミラノ・コルティナ冬季オリンピック出場の対象となるのは?

 年齢制限の引き上げで、2026年ミラノ・コルティナ冬季オリンピックへの出場は、2008年7月1日より前に生まれた選手が対象となりました。

 2008年9月8日生まれの中田璃士(TOKIOインカラミ)と2008年10月30日生まれの島田麻央(木下グループ)は、ともに2025年世界ジュニア選手権覇者で、2024年全日本選手権では2位となった実力者ですが、ミラノ・オリンピックの出場資格はありません。オリンピック出場は2030年にフランスのアルプス地域で開催される大会以降に持ち越しとなりました。

 中田は、2位となった全日本選手権について「表彰台を目指すのではなく、優勝を目指したい」と2025~2026年シーズンのテーマに「下克上」を掲げました。

 島田は、世界ジュニア選手権ではフリーでトリプルアクセルと4回転トーループを成功させ、史上初の3連覇を達成。「正直、オリンピック選考に関わりたかったと、年を重ねるごとに思ってきてしまっている」と吐露したこともあります。

 一方、2024~2025年シーズンまで同じジュニアの舞台で戦った中井亜美(TOKIOインカラミ)は2008年4月27日生まれで、2025~2026年シーズンからシニアに本格参戦。トリプルアクセルを武器に、グランプリ(GP)シリーズ初出場優勝を果たすなど、オリンピック代表候補に名乗りを上げています。

ジュニアGPファイナル男子ショートプログラムで演技する中田璃士=2024年12月、グルノーブル
全日本選手権女子フリーで演技する島田麻央=2024年12月、東和薬品ラクタブドーム
第1戦フランス大会でGPシリーズ初出場優勝を果たした中井亜美。左は2位の坂本花織、右は3位の住吉りをん=2025年10月、アンジェ(共同)

かつては浅田真央さんや紀平梨花も

 2010年バンクーバー冬季五輪女子銀メダリストの浅田真央さんも年齢制限を理由に、飛躍したシーズンの2006年トリノ冬季オリンピックは出場がかないませんでした。トリプルアクセルを武器に、直前の2005年GPファイナルでは世界選手権女王のイリーナ・スルツカヤ(ロシア)を破って優勝。日本スケート連盟に特例措置を求める電話やメールが殺到し、当時の小泉純一郎首相も残念がるなど「真央ちゃんをオリンピックに」の声が社会現象化しましたが、年齢制限の基準より誕生日が87日遅かったため、2010年バンクーバー冬季オリンピックが初出場となりました。

GPファイナル女子で優勝した浅田真央=2005年12月、東京・国立代々木競技場

 2025~2026年シーズンからのアイスダンス挑戦を表明した紀平梨花(トヨタ自動車)は、シングル時代に2017年ジュニアGPファイナルで、ISU公認大会では女子で世界初となるトリプルアクセル-3回転トーループを決め、脚光を浴びましたが、2018年平昌オリンピック出場は年齢制限に阻まれました。19歳で迎える2022年北京オリンピックでメダル獲得に向け、4回転ジャンプを2種類盛り込む意向でした。しかし、前年に右足首の疲労骨折が発覚し、代表最終選考会の全日本選手権を欠場。北京オリンピック出場の道を断たれました。23歳の現在はアイスダンスで2030年オリンピック出場を目指しています。

ジュニアGPファイナルの女子フリーで、ISU公認大会で世界初となるトリプルアクセル-3回転トーループを決めた紀平梨花=2017年12月、名古屋市ガイシプラザ

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