鍵山優真「的確な言葉くれる父を尊敬」 6月で15歳の上薗恋奈、始めたのはソチの時 名古屋市でトークショー第2部

トークショーの鍵山優真

 フィギュアスケートで12月のグランプリ(GP)ファイナルの会場となる名古屋市のIGアリーナ(愛知国際アリーナ)で5月31日、「フィギュアスケータープレミアムトークショー」が行われた。第2部「フィギュア王国・愛知を語ろう」には2024年GPファイナル2位の鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)、2023年ジュニアGPファイナル3位の上薗恋奈(LYSインカラミ)、ともに冬季オリンピックに出場している村上佳菜子さんと鈴木明子さんが登壇。司会は元四大陸選手権王者の無良崇人さんらが務めた。

 6月7日に15歳の誕生日を迎える上薗が最年少となった第2部のトークショー。上薗がフィギュアスケートを始めたきっかけは毎年、名古屋市で開催される「名古屋フィギュアスケートフェスティバル」だった。「家族で名古屋フィギュアスケートフェスティバルを見に行って、すごく小さい頃だったんですけど、みんな緊張している中なのに、自分一人だけ(浅田)真央ちゃんとか(村上)佳菜子ちゃんとか呼んでいて、真央ちゃんが手を振ってくださってうれしくて、それで始めました」と笑顔で振り返った。
 30歳の村上さんは「いくつの時?」と聞くと、上薗は「2014年の時なので3歳」と返答。村上さんはすかさず「14年が3歳??」、鈴木さんは「この間だと思っていた。あれ~??」と驚きが止まらなかった。村上さんは「ソチオリンピックの時だ。怖い! はあ、歳を感じます。でもね、うれしいです。名フェスにね、上薗さんは今、出る立場になっていますもんね」と感心した。

トークショーの上薗恋奈

 鍵山は在籍する中京大の練習環境について語った。「大学もすぐそこにありますし、スケートリンクももちろんあって、トレーニングするジムも、スケートに必要な環境が全てそろっているし、毎日ありがたく練習させてもらっています。ここで毎日、成長できるという実感を得ながらやっているので、もっともっとこの場所で成長できるんだろうなと感じています」と話した。鈴木さんは「中京のリンクに行くこともあって。本当にまじめ! 準備段階からルーティンがしっかりあって」とたたえた。
 鍵山は「1時間前に来て、やらなくてはいけないウオーミングアップを絶対にしてから氷の上に乗るようにしています。よし、いつでも動けるという状態で体をつくって。試合の時だけ、これをするというのは向いていなくて、練習の時から、試合と同じようなウオーミングアップや、意識の仕方を大事にしながら過ごしています」と話した。
 鈴木さんは「北京オリンピック後にけがしたと思いますが、けがの前と後では、ウオーミングアップの部分は変わったところはありましたか」と質問。鍵山は「北京オリンピックの前は、何となくアップする日もあった。けがしてからは自分の体のことについてすごく知れた。このウオーミングアップは体のどこの部位に効いていて、このトレーニングはこのジャンプのどこにつながっているのかと、日々試行錯誤しながら、自分の体を実験台にしつつ、今の年齢や体格にやっていることに対して、どれが合っているのか考えながらやっています」と答えた。

トークショーの鍵山優真、鈴木明子さん、村上佳菜子さん、上薗恋奈

 両親がコーチだった無良さんは父の正和さんがコーチを務める鍵山に対し「お父さんと長年ずーっとやっているとしんどい時ないですか?」と質問。鍵山は困った表情を浮かべながら「ぶっちゃけ言うと、あるっちゃあるけど、スケートとスケート以外で切り替えはできていると思っていて。父は家ではスケートの話はあまりしないと決めているのか分からないけど、あまりしないので、そこはストレスには全然ならない。中学生の頃はそういう時期があったので、練習を真剣にやっていない時期があったので、家に帰ってもふんって感じで怒られながら、それがあったからこそ、ここまで自律してスケートできているのかなと思う。そういう日々はありがたかったかなと思います」と語った。
 無良さんは「うちの父は鍵山さんのところと違って、家でもぶーぶー言われていた。切り替えという部分は大事なんだなと感じました。鍵山選手がお父さんに対して接する感じが、客観的に見て、慕っている感じが見て取れます」と話した。鍵山は「けがした時、2020年に初めて大きなけがをして、頭がパニクっちゃって、どうしたらいいか分からなくて。でも、試合には全部出たいし、という中で、そこでストップをかけてくれたのが父だった。自分のスケート人生はもっと長いんだから、今はしっかりと休んで回復させた方がいいよって、アドバイスをもらった。調子が悪い時は的確な言葉をくれるので、尊敬している。もしコーチになるとしたら、そういう存在になりたいなと思います」と語ると、会場は拍手で包まれた。
 最後にそれぞれ意気込みを語った。上薗は「この会場に初めて来て、すごく大きくてきれいで、広くて、ここで滑れたら緊張するだろうなと思いますが、この広い会場で自分の演技ができるように表現力や、感動を与えられる演技ができるようにもっと頑張りたいなと思える機会でした」と語り、鍵山は「全ての試合でできる全力のパフォーマンスができたらいいなと思う。この景色を見渡すだけで鳥肌が立つぐらい、ここで滑りたいと思うほどわくわくしている。しっかりといい成績が出せるように頑張りたいです」と締めくくった。

トークショーの鍵山優真と鈴木明子さん
品川 絵里

この記事を書いた人

品川 絵里 (しながわ・えり)

2018年に入社し、大分支局を経て20年から東京、大阪、名古屋でスポーツを取材。現在はプロ野球中日、フィギュアスケートなどを担当している。中高は創作ダンス部で、趣味は宝塚歌劇やミュージカル、中韓ドラマの鑑賞。