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2025.12.21

最後の全日本で万感V5 坂本花織、圧巻の滑りでオリンピックへ

全日本選手権 坂本 花織

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 圧巻のフリーを終えると感極まり、優勝が決まると号泣した。8歳下の島田にSPで0・10点差と肉薄されても「こっちの方が燃える」と歴戦の女王は動じなかった。圧倒的な滑りのスピードと、ベテランならではの表現力で伊藤(いとう)みどり以来の5連覇を達成。日本女子初となる3度目の五輪代表を決め「うれしいの一言。順風満帆ではなかった。人生、虹色だな」と万感の思いがあふれた。

 スケート靴のエッジ(刃)を巧みに操って滑りの速度を上げるには、高いバランス感覚が求められる。荒川静香(あらかわ・しずか)、羽生結弦(はにゅう・ゆづる)を五輪「金」に導いた日本スケート連盟の城田憲子(しろた・のりこ)元強化部長は「体幹の強さと徹底してきた基礎練習。世界で坂本ほど乗り分けられる選手はいない」と絶賛する。

 縦60㍍、横30㍍のリンクを縦横無尽に疾走。ジャンプの踏み切り前、着氷後ともに減速せず、出来栄えの加点を稼いだ。シャンソンの名曲「愛の讃歌」の壮大な世界観を全身で表現し、演技点は他を寄せ付けなかった。

 ジャンプが高度化する時代にも「大技を見たければ花織を見なくていい」と自らのスケートを見失わなかった。最後の全日本でも若手の壁となり花道を飾るミラノへ。「この全日本を超える精神力で挑んで、何も悔いはない、やり切ったという演技をしたい。団体、個人で『銀』以上をつかみたい」。まだまだギアを緩めるつもりはない。(藤原慎)

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