フィギュアスケートの芸術性について研究するスポーツ科学研究者で、国学院大学准教授の町田樹さんが28日、金沢21世紀美術館(金沢市)で行われたトークセッションに登場した。
美術館から企画を打診されたのは今回が初めてだという町田さんがこの日テーマにしたのは、「作品」としてのフィギュアスケート。その場限りで消えてしまい、「もの」としては残らないフィギュアスケートを「芸術作品」として捉え、どのようにして未来に生きる人に伝えていけるのか―。その方法や課題を「著作権」と「アーカイブ」を軸にして、美術館スタッフや来場者と語り合った。
トークセッションの中で、フィギュアスケートを映像として残し公開していくために「高いハードルになっている」と、町田さんが指摘したのは、プログラムを撮影した映像の著作権を巡る問題。ほとんどの場合、放送局が映像の著作権を持っているが、使用には多額の費用が必要になるのが実状だ。実際、被写体として映っている自身の演技映像で、町田さんが自由に使えるものは一つもないという。
さらに、町田さんはフィギュアスケート界の現状について、プログラムが著作物であるという考え方が浸透していないとも指摘した。バレエ作品と比較すると、バレエは100年前の作品でも現在まで踊り継がれているが、フィギュアスケートの場合、演技をしたスケーターが引退してしまえば、その作品が再び日の目を見る機会がなくなってしまうという。著作権という考え方がフィギュアスケートの世界にも浸透していくことで「良い作品の再生産が可能になる」と語った。
この日はトークセッションに先立ち、ダンスをどのようにアーカイブできるかについて、町田さんが一般の参加者とともに考えるワークショップも行われた。町田さんが実際に自身で振り付けた踊りを披露し、作品を残していくためにはどんな情報が必要なのかを考えた。
企画した金沢21世紀美術館のアシスタント・コンサヴァターの梅谷彩香さんは「フィギュアスケートを著作物として保存し、次世代に継承していくことは、作品を保存収集することで、現在の価値観を未来につなげていく美術館のミッションにも通じると思う。また、スポーツとアートの境界にあるフィギュアスケートを通じて、スポーツとは何か、アートとは何かを考えるきっかけにできたら」と話した。
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