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点差計算、巧みに逃げ切る 宇野「ベテラン」の妙

 近年まれにみる激戦となった男子フリー。若手の好演技を、最終滑走の宇野は冷静に見ていた。鍵山との得点差を計算し「やらなければいけないことを的確に見極められた」。ジャンプの難度を予定より落とし、完成度を優先。SPでの10点以上のリードを生かし「ベテランになったんだな」と巧みに逃げ切った。

 大会前にスケート靴のトラブルがあり、冒頭の4回転ループで着氷が乱れたようにジャンプの感覚は芳しくなかった。トリプルアクセル(3回転半)からの3連続は単発にし、4回転―3回転の連続トーループは二つ目を2回転に変更。技術点は5位ながら、オフに磨いてきた表現力で演技点はトップ。安堵(あんど)の表情で大きく両手を広げ「セーフ」とつぶやいた。

 無敵を誇った昨シーズンから一転、今季はGP3戦全て2位にとどまっていた。シーズン前は勝負への執着を失ったような発言もあったが、GPファイナルを制したマリニン(米国)や鍵山に触発され、闘争心が再び燃え上がった。

 歴代2位に並ぶ6度目の優勝に「振り返ると長い月日だな」と感慨深げに語ると、すぐに視線を来年3月の世界選手権に向けた。「競技人生で最高の演技をしなければマリニン君に勝てない。最高の調整をして挑みたい」。世界でも、王座を譲るつもりはない。(藤原慎)