インタビュー

2026.10.31

ジャンプだけでなく「総合力」を 選手の個性や音楽表現を重視 ISU技術委員長が語る新ルールの狙いとアイスダンス改革

写真はISU提供、デザイン:中川浩太朗

SNSでシェア

 国際スケート連盟(ISU)のフィギュア男女とペアの技術委員長を務めるレーナ・ラークソネン氏とアイスダンス技術委員長のミケーラ・チェザロ氏が取材に応じ、今シーズンのルール変更の狙いと今後の方向性を説明した。シングルとペアでは、技術的な難しさと芸術性を両立させ、選手の個性や音楽表現を引き出すことを重視。アイスダンスでは、リズムダンスとフリーダンスそれぞれの位置付けを明確にし、採点の一貫性や分かりやすさを高めていく考えを示した。(取材:吉田学史)

シングルは構成と音楽表現に余地 ペアは難度と芸術性の両立へ

 ラークソネン氏は、変更の目的について、単にルールを変えるのではなく、「よりバランスが取れ、創造的で、見る人を引き付ける演技」を選手やチームに促すことだと説明した。競技を特徴付ける技術的な卓越性を守りながら、個性が出て、音楽と結び付き、プログラムに命を吹き込む機会を増やすという。

 シングルのフリーでは、ジャンプ要素の数を7から6に減らすことで、振り付けを発展させ、要素と要素の間を濃密にする。優れたジャンプだけでなく、プログラムを一つにまとめるトランジションの動きや音楽解釈も重視する狙いだ。ジャンプ・コンビネーションでは、オイラーを二つのジャンプをつなぐジャンプとして異なる形で扱い、同じ種類のジャンプの反復にも制限を設ける。より多様な構成を促し、幅広いジャンプの技術を示す選手を評価する。

 新たなコレオグラフィック・スピンも選手が個性を表し、動きを音楽に結び付ける自由度を高めるための要素と位置付けた。一方で、スピン、ステップシークエンス、コレオグラフィック要素の基礎点を引き上げ、プログラムを構成する各要素のバランスを保つとしている。

 ペアでは、コレオグラフィック・リフトとコレオグラフィック・ペアスピンの導入により、それぞれのペアが創造性を発揮し、独自性の高いプログラムをつくるチャンスを広げる。多様な姿勢や動きを取り入れ、観客の記憶に残る場面につなげることを期待する。ジャンプ・コンビネーションの変更では、質と2人の動きの同調性をより重視する。

吉田 学史

この記事を書いた人

吉田 学史 (よしだ・たかふみ)

2006年共同通信入社。仙台などの支社局で警察や行政を担当し、12年から大阪運動部でスポーツ取材を始めた。2014年12月に本社運動部へ異動して水泳、テニス、フィギュアスケートを担当し、五輪は2016年から夏冬計4大会を取材した。2022年4月からジュネーブ支局で国際オリンピック委員会や五輪の準備状況を追う。東京都出身。

ピックアップ