今月11、12日と、名古屋市で行われた「名古屋をどりNEO傾奇者(第78回名古屋をどり)」。第二部の舞踊劇「元禄をんな忠臣蔵」では、フィギュアスケートの元世界王者、高橋大輔さんが出演しました。舞台はジャンルの枠にとらわれない、さまざまな出演者が登場し、エンターテインメント色豊かな演出。冥途の旅は、涙あり、笑いありの展開で、会場は大いに沸きました。
高橋さんは、赤穂浪士のりりしい姿を見せ、殺陣も披露しました。劇のクライマックスでは、西川流四世家元の西川千雅さんが演じるおくまとともに、初めて日本舞踊「鷺娘」に挑みました。
鷺娘は、恋に苦しむ娘を白鷺の姿に重ねた作品。高橋さんは主税役で男性としての役どころでしたが、おくまを支える役柄として、炎の映像を背景に恋に苦しむさまをドラマチックに演じきりました。
西川さんに公開リハーサル直前に取材対応をお願いし、日本舞踊に本格的に初挑戦した高橋大輔さんの魅力を聞きしました。
『元禄おんな忠臣蔵』とは
忠臣蔵を女性に置き換え、女性が赤穂浪士を演じる作品。そこに蝶花楼桃花さんの落語を取り入れたオリジナルストーリー。
舞台は、この世を去った者たちが迷い込む冥界。地獄でも極楽でもない、生前の執着を延々と繰り返す不思議な世界です。人間界では遊女のおくま(西川千雅)が、赤穂浪士で命を絶った大石主税(高橋大輔)をいまも忘れられず、泣いています。そこへ現れたのは、怪しい坊主の鉄観音(西川長秀)。彼の言葉に乗せられ、おくまは、貼れば極楽に行けるという〝お血脈〟という札を手に、主税を探すために冥界巡りへ旅立ちます。
一方、冥界で目を覚ました主税は、小鬼のシャバーニイ(声・梶裕貴)と共に冥界をさまよっていました。そこで彼らが出会うのは、心中を繰り返す梅川忠兵衛、呪詛を唱え合う「双面水照月」の法界坊、落語「芝浜」で女房に叱られる大酒飲みの亭主など、生前の思いにとらわれた者たちです。
人間が冥界に入り込むと冥界のシステムが狂って冥界が滅亡してしまいます。慌てた鬼たちは、おくまを探し出そうとします。そこに忠義の果てに散った赤穂浪士たちも現れて…。
-今回、(高橋大輔さんに出演の)声をかけられた理由は。(『氷艶』を演出した)堤幸彦さんとのご縁とかもあるのかなと思ったのですが。
「そうですね。 『名古屋をどりNEO』は日本舞踊の公演というよりは、劇場外では食事や買い物も楽しめるイベントに日本舞踊を使っているというところがあり、いろんな方に親しみを持ってもらいたいという気持ちがあります。その中で堤監督がですね、これまでも非常にいろいろな方をご紹介くださって。今年はたまたま、堤監督が『氷艶』という舞台で高橋さんとご一緒されていたとお聞きしました。『僕たちの方からぜひお願いしてみたい』とお伝えして、出演していただくのは無理かなと思っていました」
「ご出演をお願いしたかった理由はなんて言いますか、フィギュアスケートの選手としての能力という点もありますが、人柄というか、親しみやすさというか。フィギュアスケーターというのは、体の使い方もちょっと(日本舞踊と)似てるところもあるし、どこかチャレンジしたいなと思うところもありました」
「プログラムにも書いたんですが、尾上流の家元からも聞いてたんですね、すばらしい方だってことを」
※編集部注:プログラムに「高橋さんはアイスショーや映画での経験があり、真面目で芸に熱心な方で、日本舞踊との親和性もあり、出演が決まりました」と書かれています。
-(尾上)菊之丞さんですか?
「はい。ですので、出演していただくことになりました」
















