ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケートで金メダルに輝いたペアの三浦璃来(みうら・りく)(24)、木原龍一(きはら・りゅういち)(33)組=木下グループ=には、足元を支える職人集団がいた。スケート靴のブレード(刃)を製造する名古屋市の山一ハガネだ。「YSブレード」の開発者、石川貴規(いしかわ・たかき)さん(48)は「サポートして良かった。もの作りの励みになった」と感慨に浸った。
8年前、木原は「すぐに曲がったり折れたりする」とブレードに悩みを抱えていた。女性を持ち上げるペアは負荷が大きい。解決策を探る中、愛知県東海市の実家に近い、金属加工を手がける同社へ話を聞きに行ったのが始まりだった。
当時の同社の製品はあまり普及しておらず、トップ選手からの関心に「渡りに船」と改良に着手した。パーツを溶接する欧米メーカーの従来品と違い、約10㌔の特殊鋼の塊から約270㌘のブレードを削り出す。約15万円と相場より5万円高いが、強度は3倍。がっちりとした体格の木原が耐久テストに協力した。完成品で滑ると「伸びがすごい」と感動。すぐに使い始めた。
2019年に組んだ三浦も使い始め「一層滑りが合った」。最高の相棒に巡り合った2人は、23年世界選手権で初優勝と躍進。評判が伝わり、今大会男子銀メダルの鍵山優真(かぎやま・ゆうま)(22)=オリエンタルバイオ・中京大=らも使用するようになった。
選手から直接相談を持ちかけてきたのは木原だけだという。春には必ず手土産を手にあいさつに来る律義な新五輪王者。石川さんは快挙を喜び「ブレードの認知度を高め、鍛えていただいた」と感謝した。(共同=品川絵里)











