アイスダンスをテーマにした『キス&ネバークライ』と、フィギュアスケート男子シングルをテーマにした『銀盤騎士』の2作を手がけた漫画家の小川彌生さん。作品の中で、競技会場の臨場感や選手の心情をリアルな表現で伝えている点も魅力の一つです。
今では選手自らさまざまな写真をSNSにアップしますが、小川さんがフィギュアスケートの漫画を描き始めた頃はそうしたことが一般的ではなかった時代で、苦労して資料を集めたそうです。海外の大会にも足を運び、取材を重ね「どうにかこうにか描いた」と明かします。
『銀盤騎士』では、冬季五輪までの3シーズンが描かれています。2024年~2025年は五輪のプレシーズン。五輪の前年から五輪という流れを見続ける面白さを「選手はもちろん大変だと思いますが、4年に1度ワクワクさせてもらって、こちらはひたすら楽しみです」と教えてくれました。(聞き手 品川絵里 前山千尋 )
小川彌生さん編【上】はこちら 始まりは、“ぼっち”から 大ヒット漫画『きみはペット』の 作者が語るフィギュアスケート愛
『銀盤騎士』とは…

フィギュアスケート男子がテーマ。日本のエース候補なのに、ヘタレでアニメオタクの雉子波心(きじなみ・こころ)と、幼なじみで雑誌編集者の猪狩千登勢(いがり・ちとせ)の恋愛模様を軸に物語は進む。スポーツ漫画としても読み応えは抜群で、けがや精神的な弱さを周囲の協力で克服しながら、五輪に向かっていく成長の過程も見どころだ。2012年~2017年、女性向けマンガ誌「Kiss」で連載した。
漫画も身体表現だった...「軌道に乗ってジャンプを跳ぶ時の気持ち、何となく分かるんですよね」
小川さんが初めて直接観戦した大会は、国立代々木競技場(東京)で行われた2005年のグランプリ(GP)ファイナルだという。日本の大会では観客による撮影は禁止されているため、取材のために海外の大会まで足を運んだ。フランスとカナダ、スウェーデン、フィンランドで観戦した。
