フィギュアスケート男子の元世界王者、高橋大輔さんが29日、スクリーンでの演技に初めて挑んだ映画「蔵のある街」の完成披露上映会に登場し、「一歩を踏み出す勇気が感じられる映画。そういったところを楽しみながら見ていただきたい」とあいさつした。
舞台挨拶では、映画出演はオリンピック出場よりも緊張したというエピソードも飛び出した。高橋さんと同じ倉敷出身で、同い年の俳優、前野朋哉さんとの掛け合いを中心にコメントの詳報をお伝えします。

―(司会)美術館の学芸員古城役、高橋大輔さん、お願いいたします。
高橋さん「(大きな歓声)みなさん、こんばんは。古城役を演じさせていただきました高橋大輔です。よろしくお願いします」(高橋さんが小さくガッツポーズ。会場からはヒュー、と歓声と拍手)
前野朋哉さん「あの。倉敷の時はこれが言えなかったんです」(場内、笑)
高橋さん「(言葉を)かみたおしたんで(笑)」
平松恵美子監督「朝だったからね」
ー今日は夜ですからね。(場内、笑)
役柄についての質問
―(司会)高橋大輔さんは本作『蔵のある街』で映画デビューを果たされました。(歓声、拍手)
高橋さん「ありがとうございます」
―氷艶とかはね、演技というのはやっていたと思うんですが。映画出てみようかなって思われたのは、どういったことが理由だったんですか?
高橋さん「そうですね、まず最初に平松監督からお話いただいて、ぼくもお芝居に興味がわいている時期だったので。それとふるさとの倉敷を舞台にするということで、これはもう、巡り合わせじゃないかという風に思ったので。結構すぐ、お返事させていただいて」
平松監督「そうでうすね、速かったです」(場内、笑)
高橋さん「やりたいです、って言って(笑)」
―監督からはどんなことをお伝えされたんですか?役柄であるとか。
平松監督「あ、役柄っていうかね。あのー。そのままの高橋さんでいてください、あんまりお芝居しないで、お芝居することは考えないでくださいって最初お伝えしましたね」
高橋さん「はい、そう言っていただいたので、セリフを覚えることだけ一生懸命、最初はやりましたけども」
―そんな中、映画完成して、ご覧になるじゃないですか。どうでしたか。ご自身が出ている映画を見るというのは。
高橋さん「いや、そうですね。映画として見ている時、ほんとみなさん素敵な俳優さんばかりの中で、すばらしい映画と思いながら見てたんですけど、 自分が出た時は、こうやって目を細めながら、(会場、笑)、あああっていうね。正直、 真正面から見れない部分がたくさんあったんですけれども。でもまあ、そういった気持ちもありながらも、どんどんどんどん 、こう映画の世界に、 自分が入り込んでいくという気持ちもすごくあったので、最後は、ちょっとうるうるときながら、見させていただきました」

―ご自身のスケートを後で動画で振り返るということもあると思うんですけど、お芝居見るのとは全然感覚が違うんですか?
高橋さん「そうですね、スケートの場合はある程度、培ってきたものがたくさんありますので、(場内、爆笑)、ここがダメだったら、こうしてみようという冷静な判断でいられるんですけども、初めまして感がすごくて、なんか初めての感覚だったので、ちょっとこうなんとも言えない気持ちですよね。どうでした?(と主演の山時聡真さんに振る) 初めての時はどうでした?(前野さんを見る)」
前野さん「どっかで分析会とかします?」(場内、笑)
高橋さん「うん、してほしいです。お願いします」
―それはそれでちょっと怖くないですか?
高橋さん「いやいやいや、ぼくは聞きたいですね」
―あ、ほんとですか。
高橋さん「みなさんの分析も知りたいです。どんな分析をされているのか」
―監督、ばっちりですよね?
平松監督「じゃあ、分析会しましょうか、笑」
(会場、爆笑)

―じゃあ、そこで真意が明らかになるということだと思いますが、そして、高橋さんと同じ倉敷ご出身の前野朋哉さんはなんと同い年でいらっしゃるということで、
前野さん「ね、見えないですよね」
―倉敷出身で、同い年ということで、
前野さん「成人式一緒だったんです。はい。ぼくはもちろん知っていたので、高橋さんだーと思って、成人式見てましたけど、ぼくのことはもちろんね、知らなかったですよね」
高橋さん「そうでうすね(頭を下げる)」
前野さん「それぶりに、まさか映画で共演できると思っていなかったので、めちゃくちゃうれしかったです。ほんとに」
―会場も一緒だったということですよね?
前野さん「はい、もう今はないチボリ公園という遊園地で成人式、やりました」
平松監督「やっぱりものすごく囲まれていました?」
前野さん「囲まれてたんですよ~!(会場、笑)。あの、人だかりができていて、何だあれは、って見たら、高橋さんがいて。もう、あ、そういうことか、これが人生かと。(場内、笑)。がんばるぞって思いながら。おれは映画撮るんだって思いながら。そう、そうですねっ、奮い立たされたというか」

―そこから同じ土俵でお芝居をすることになるじゃないですか。今回、ご共演されて印象的だったこととかありますか?
前野さん「えーと、めちゃくちゃ緊張されていましたよね?」
高橋さん「(深くうなづきながら)めちゃくちゃ、しましたね」
前野さん「あの、えっとクランクインの時が一緒で、同じシーンだったんですよ。喫茶店のシーンで。で、ぼくもちょっと和ませようと思って「オリンピックとどっちが緊張しますか?」みたいなこと言ったら、「いや、全然こっちですっ」って(笑)、すげえ、まじなトーンで。(会場、笑) あ、そうなんだと思って。でも、その日、丸一日喫茶店のシーンだったんですけど。どんどん古城さんになっていったというか。なんて言うんですかね~、成人式の時から思っていたんですけど、色気があるなって、(会場、笑)、知的で色気があるなって思いながら、ぼくはちょっと離れたところから見ておりました」
―高橋さん、オリンピックより緊張されるって...
高橋さん「しましたよ!何の経験値もないところにポンと入った感じだったので、まじで、まじでって言っちゃいましたけど(笑)、ほんとに、どういう作り方でやっていいのかわからない感覚だったので、最初の時はきょろきょろきょろきょろきょろきょろ、ずっとしていましたよ」
―どうしたらいいかわからない..
高橋さん「わからなかったので、全力でずっとやろうって決めてやっていました」
―そんな中、同じ出身地で同い年の前野さんがいたのは心強かったんじゃないですか?
高橋さん「めちゃくちゃ心強かったですね。共通の知り合いの方がいて、前野さん、めちゃくちゃいい人だから大丈夫だよって言ってくださって」
前野さん「いや、うれしいです、うれしいです」
高橋さん「じゃあ、大丈夫なんだって思って」
前野さん「現場で怒ったりしませんよ。なんだ今のは!とか言ったりしませんよ、こっちも。思ってもないし」

―平松監督、緊張感は現場で結構漂ってましたか?
平松監督「あの、初日はね、はたから見ても緊張しているわーという感じがありましたよね」
高橋さん「緊張しました」
平松監督「固いし、なんか動きもぎこちなかったし、足、たんたんたんたんたんとずっとしているし」
高橋さん「(笑)一番最初に注意されたのが、とんとんしてる足って言われて(貧乏揺すりのような仕草)。あー、ダメなんだって思って」(会場、笑)
―さあ、みなさん、どんなシーンに仕上がっているのか、ご覧いただきたいと思います。
前野さん「そうですね、見たら、もしかしたらこれが初日かなってわかるんじゃないかな」
高橋さん「たぶんね、わかるんじゃないですかね」
前野さん「喫茶店のシーンです」
平松監督「喫茶店は全部初日だから」
前野さん「あれ、そうですよね。一日で撮りきったんですよね」
平松監督「喫茶店出てくるたびに、あ、初日だーと思って」
前野さん「でも、じょじょにね、和んでいくというかね、2人で(高校生)3人を見ているツーショットとかあるんですけど、そことかもすごい」
平松監督「そこのシーンが2人の和み方すごくて、遠い目で高校生っていいなっていう、感じで」
前野さん「ちょっとリアルに。いいよねって」
高橋さん「そう、リアルに見てましたね」

最後に映画を見る方へのメッセージ
高橋さん「若者たちがこう熱い思いで、青春をしているなっていうところから、いろんな物語が始まっていくと思うんですけども。 大人も、やっぱり青春ってできるんだなって 、すごく演じていても感じましたし。 一つの一歩がいろんな人に波紋として広がっていって、 こう、いろんな方に影響を与えていくことって、やっぱり身近にもたくさんあるなっという風に思うことができました。やっぱり、ぼく自身も一歩踏み出す勇気がない時に、この映画を見て、この一歩を踏み出す勇気というものを感じられるなと思ったので。ぜひ、そういったところも楽しみながら見ていただけたらうれしいなと思います」
公開情報
映画はMOVIX倉敷にて公開中、8月22日から全国公開。