フィギュアスケートのミラノ・コルティナ冬季五輪代表最終選考会を兼ねる全日本選手権は19日、東京・国立代々木競技場で開幕し、女子ショートプログラム(SP)は5連覇を目指す坂本花織(さかもと・かおり)(シスメックス)が79・43点で首位に立った。
演技直後、坂本は渾身(こんしん)のガッツポーズを見せて破顔した。中野園子(なかの・そのこ)コーチから「これで最後の全日本。花織らしい演技をしてきなさい」と送り出されると、三つのジャンプ全てを着氷させた。表現面を示す演技点は他を圧倒。ジュニアの島田を0・10点上回って貫禄を示し「自信を持って滑れた。珍しく試合が楽しかった」と頰を緩めた。
坂本には忘れられないシーンがある。北京冬季五輪代表が懸かった2021年の全日本。優勝が決まった直後、中野コーチから「よう頑張った。神様いるね」との言葉をもらった。歓喜を再現するため、この4年間、普段は厳しい恩師の愛のむちに耐えてきた。
浅田真央(あさだ・まお)の4連覇を超える5大会連続制覇を達成すれば、伊藤(いとう)みどり以来となる史上5人目の快挙でミラノ行きの切符も手中にする。「五輪代表を決めたいのが一番の思い。やってきたことを信じて演技に没頭したい」。女王の座は最後まで譲らない。(藤原慎)











