連載

2026.06.06

記録に残さないからこそ生まれる価値とは? 映像があふれる時代のフィギュアスケートをアーカイブする

サムネイルデザイン:山田紗英子

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 フィギュアスケートの芸術性について研究するスポーツ科学研究者で、国学院大学准教授の町田樹さんが3月、金沢21世紀美術館(金沢市)で行われたトークセッションに登場した。

 トークのテーマは、フィギュアスケートを「芸術作品」として捉え、どのように残し、未来に伝えていけるのか―。この日は、作品を保存、活用していくためのアーカイブについて、町田さんが考えたワークショップも実施。その後、美術館のアシスタント・コンサヴァター(保存担当学芸員)の梅谷彩香さんとトークを展開した。トーク後、ワークショップを通じて分かったこと、その後のトークセッションで言及したフィギュアスケート界と著作権について、インタビューした。

 町田さんがワークショップをきっかけに、さらに考えていきたいことの一つは意外にも映像があふれる時代に「消えてしまうことの価値」でした。

パフォーマンス芸術とフィギュアスケートに通じるテーマ

ワークショップの最後に参加者みんなで話し合った=2026年3月28日、金沢市

 ―作品をどう伝えるかについてのワークショップがすごく面白かったです。何から発想を得て、なぜワークショップをしようと思ったのでしょうか。

  町田「美術館からオファーをいただきまして、美術館は現代アートをアーカイブする機関で、現代アートにはパフォーマンスもあるんですね。パフォーマンス芸術をいかにアーカイブするかということについては、現場としても試行錯誤しながら、日々活動されています。私もフィギュアスケートのアーカイブ、著作権が研究テーマでしたので問題意識が通底しており、このテーマでやってみようかということになりました」

アーカイブの方法を体験してみよう

 ―具体的には、どういうことをされたかったのでしょうか。

行ったワークショップはこんな内容でした

 【創作】町田さんと、ダンサーの義本佳生(けい)さんがそれぞれ1分程度のパフォーマンスを曲選びから振り付けまで作り、それを披露。町田さんは「待つ心」というテーマをクラシックバレエで、義本さんはカナリアをコンテンポラリーダンスで表現した。

 【記録】町田さんと義本さんは参加者の前で順番にパフォーマンスをし、一人が踊っている間はもう一人は楽屋で待ち、お互いにパフォーマンスの内容を全く知らない状態をつくる。参加者はAグループとBグループに分かれ、動画やインタビューでダンスを記録する。

 【再現】Aグループは町田さんのダンスを義本さんに、Bグループは義本さんのダンスを町田さんに伝える。参加者から提供された記録を頼りに、町田さんは義本さんのパフォーマンスを、義本さんは町田さんのパフォーマンスを再現する。

  第三者(参加者)による記録や伝達を通じて、パフォーマンス作品の再演を目指した。

前山 千尋

この記事を書いた人

前山 千尋 (まえやま・ちひろ)

デジタルコンテンツ部記者。2007年入社。青森、京都支局を経て、文化部で美術や建築、教育、ジェンダー問題などを担当してきた。山梨県出身。

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