インタビュー

2026.10.10

本田武史さん「大事にしたい、みんなで滑れる」パラスケート普及への思い 17歳で挑んだ『ティコティコ』秘話も【パラスケートフェスタ・トークショー①】

撮影:井上将志、デザイン:山田紗英子

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 車いすやストレッチャーでもスケートを楽しんでほしい―。そんな思いを込めた体験イベント「パラスケートフェスタ」(主催:日本パラスケート協会)が7月26日、東京辰巳アイスアリーナで開催された。フィギュアスケート男子で2002年ソルトレークシティー冬季オリンピック4位入賞で、日本フィギュアスケーティングインストラクター協会理事長の本田武史さんや、2017年ジュニア・グランプリ(GP)ファイナル銅メダリストの須本光希さんらがゲストとして参加。デモンストレーション演技の披露やトークショー、氷上での交流でイベントを盛り上げた。
 
 本田さんのトークショーでは、パラスケート普及への思いを語り、現役時代の衣装やプログラムの選び方にまで話題は広がった。トークショーの詳報第1回は以下の通り。

カナダ時代にパラスポーツを体験

 (司会)
 ―パラスケートフェスタにお越しいただいたきっかけは?

 本田「僕は滋賀県で開催されたパラスケートの時に一度参加させていただきまして、どんな方でもスケートを楽しむっていう会の企画だったりとか、やっぱりそういうのに心を打たれるものがありまして、お手伝いできればなっていうふうに思いました」

 ―日本だと車いすとかチェアを使って滑るスケートは、あまり一般的ではない?

 「そうですね、やっぱりあまり聞かないと思いますが、僕はカナダに住んでいたのですが、パラスポーツが盛んな国でもあったので、いろいろなパラスポーツは僕も体験したことがありますし」

 ―カナダだとチェアスケートも一般的?

 「定期的にやってはいないですけど、ホッケーがありますよね。パラホッケーが結構強いチームもありますね」

 ―カナダはアイスホッケーの国だから、車いすを使ったものも根付いているんですかね?

 「そうですね」

 ―パラスポーツで体験されたのは、アイスホッケーなどですか?

 「実はバスケを体験したことがありまして、本当に難しいんですよ。ボールをドリブルしながら」

 ―手が足りないですよね?

 「すごくコンタクトスポーツというか、当たってくるので衝撃もすごいですし、そこの難しさというのはあったんですけど、やっぱりスポーツを楽しむというところは、すごく体感できたのでよかったです」

 ―このチェアスケートのイベントで初めてスケートをされた車いすの方も多いですが、意外とみんなスピードを出したがっているということをよく聞きますね。

 「スピードを出した時に感じる風ってすごい、味わえないじゃないですか。自転車で坂道を下るのとは少し違うので」

 ―坂道をストレッチャーで下って衝突してしまったら、事件ですからね。でも、ここだったらそれくらいのスピードが気持ちよく出せる?

 「はい。あと音も全然違うので、スケートは生で見ると氷を削る音が全然違いますし、風もカーブしていくときに感じる風だったりとか、バックで滑っているときは後ろから感じる風、普段では経験できないことがあるので」

 ―そういうものの影響なのか、「また来たい」とおっしゃっていただいている車いすの方も多いみたいですね。スケートは、「やったことはないけど、実はやってみたかった」というものの1つだと思うんですよ。日本パラスケート協会は、4月から始まって今回初のイベントなんですけども、非常に大勢の方に参加していただいて、これからもっと日本にも普及してほしいなと思います。本田さんはパラスケートがよりみんなに浸透するには、これからどういったやり方をしていくべきだとお考えでしょうか?

 「やはりこういうイベントでスケートを感じるということも大事ですし、普段から滑っているスケーターと一緒に滑るっていうのも、すごくいいのかなって思います」

 ―確かに他の競技は選手との距離が若干遠いような感じはあるんですけど、スケートは近いですよね。

 「そうですね。30、60のリンクの中で滑れるので。スピンを目の前で見るのと遠くで見るのって、回転の速さの感じ方が全然違うじゃないですか。そういうのも、車いすの方でも目の前で見られるという、その感覚というのは味わってもらいたいなと思います」

 ―実際に体験してもらうことが、今後も大事になるということですよね。

 「そうですね。やっぱり氷の上に乗るっていうのはなかなか難しいことなんですけれども、やっぱりそういうふうに、少しでもみんなで滑れるよ、感じられるよっていうところは、すごく大事にしていきたいなと思います」

「パラスケートフェスタ」の本田武史さん=2026年7月26日、東京辰巳アイスアリーナ(撮影:井上将志)
井上 将志

この記事を書いた人

井上 将志 (いのうえ・まさし)

2003年共同通信入社。名古屋でプロ野球中日、フィギュアスケート、本社運動部でフィギュア、体操、東京五輪組織委員会を中心に担当。五輪は10年バンクーバーから夏冬計7大会を取材した。ジュネーブ支局時代は欧州を中心に世界各地をカバー。東京都出身。

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